10万円給付問題で鮮明になった岸田総理の“軸のなさ” 重鎮たちの影響から逃れられず

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 今月13日に開かれた衆院予算委員会で、18歳以下への10万円相当の給付について“現金一括も選択肢の一つ”と方針転換を余儀なくされた岸田文雄首相(64)。

 大きな失策もなく、首相就任後3カ月といわれる“ハネムーン期間”を謳歌してきた岸田氏にとっては、初めての難局となった。

 しかし、永田町周辺には、膨らむ一方だった“ご祝儀相場”に首を傾げる向きもあったという。

 岸田派の中堅議員が言う。

「岸田政権は就任直後の支持率こそ低調でしたが、その後の衆院選でまさかの大勝。当初は、安倍晋三元首相の傀儡などといわれていた人事も、メディアでは“実は最大派閥・安倍派の分断を狙ったもの”“面従腹背で脱傀儡を図った”などと妙に肯定的な深読みがなされていました。ただ、当の本人からすれば“何のこと?”という感じだったでしょう」

 思い返せば、9月の党総裁選でも、歴代最長を誇った二階俊博元幹事長に宣戦布告をしてみたり、BS番組で安倍元首相の「森友学園問題」について再調査の必要性を仄(ほの)めかしてみたり。ついに“岸田は変わった”と解釈されていたのだが、

「マスコミが勝手に盛り上がってくれただけで、岸田さんには“誰かに喧嘩を売る”なんて芸当はできませんよ。実際、菅義偉前首相が総裁選への出馬を模索していると報じられた際には“私は一体どうなるんだ”と取り乱していましたし、BS番組での発言の直後も“そんなつもりはなかった”とうろたえていた」(同)

温厚で軸のない性格

 いかにも公家集団「宏池会」を率いる岸田氏らしいエピソード。良く言えば“温厚”で、悪く言えば“軸のない”岸田氏のこの性格は、10万円給付の問題でも見て取れるという。

「岸田さんからすれば、あれは公明党が言い出したことで、自分の政策ではない。クーポンも財政規律を図りたい財務省や麻生太郎副総裁に配慮しただけで“どうして自分が非難されるんだ”というのが本音」(同)

 今も結局、重鎮たちの影響下にあるようだ。

「党本部の4階にある副総裁室は麻生氏の就任を前にリフォームがされたほどで、今や副総裁は党ナンバー2の幹事長よりも処遇が上。安倍氏が麻生氏の部屋を秘密裡に訪れるなど、両者の蜜月も健在です」(政治部記者)

 長老たちが担ぐには持ってこいの“軽い御輿”か。

週刊新潮 2021年12月23日号掲載

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