いしだ壱成、林家三平…「親ガチャ」で悩める2世たちに足りないのは何なのか

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結果を出しても出さなくても「親の七光り」  上がるハードルと下がるメンタル

 親の成功イメージから一定の距離を取るためか、親とは違う道で頭角を現す若い2世も多い。杉咲花さんやMattさん、ハマ・オカモトさんなどだ。花田優一さんだって、当初は有望な靴職人として注目を浴びていた。彼らは2世ゆえの恵まれた環境を活用したかもしれないが、親の影から生涯逃れられないリスクも深く理解していたのだろう。

 そもそも2世タレントは、結果を出しても出さなくても「親の七光り」と言われがちである。目立つポジションをいち早く得ることが多い分、親を超える実績を積み重ねない限り、なかなか個人として認められにくい。ミュージカル女優として花開いた神田沙也加さんだって、デビュー当初は容姿や歌唱力を叩かれていた。彼女も母・松田聖子さんとの関係をよく取り沙汰されていたが、早すぎる死の陰にさまざまな葛藤があったことは想像に難くない。苦労を見越してか、祖母には「歌手になるのだけはやめた方がいい」と諭されていたという。

 幼い頃から良くも悪くも目をつけられ、成功ハードルも高く設定される2世たち。安定したメンタルを保つのは難しいはずだ。いしださんはうつ病を発症し、三平さんも笑点卒業時の激痩せぶりが心配されている。俺様キャラの長嶋一茂さんも、パニック障害を患ったことを告白した。また、父・茂雄さんとは13年ほど会っていないともいう。偉大な親との距離感の難しさを、考えさせられる話である。

2世に必要なのは才能ではなく強いメンタル 壱成の安定を支えるのは仕事より父?

 そう考えると2世たちにいちばん必要なのは、まずメンタルのタフさなのではないだろうか。周囲の声をひとつひとつ真面目に受け止める人ほど、苦しむように見える。宇多田ヒカルさんやONE OK ROCKのTakaさん、新田真剣佑さんなど、海外へ飛び出す人も増えた。親の名字を使わずにデビューする2世も多いが、正当な評価を得たいというだけでなく、理不尽な中傷を避けられるというメリットもあるに違いない。

 壱成さんに話を戻すと、一般人からの批判コメントに言い返したり、傷つきやすい性格が垣間見られる。年を取っても何かと父親のことを持ち出す様子は、親が機嫌を取ってくれるのを待っている駄々っ子のようだ。今の彼に必要なのは、仕事でもお金でも女性でもなく、父親から認められ愛される実感なのではないか。思えば純一さん自身、NHKの名アナウンサーだった父親との確執を抱えていた。どこまでも似たもの親子の二人。いずれにせよ互いの生活の立て直しは、親子関係の立て直しから始まるような気がするがどうだろう。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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