日大のドンは「脱税」のみで捜査終結 私大ガバナンス改革に抵抗する人の正体

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記者クラブに伝えない条件

 そんな学校法人理事長のやりたい放題に歯止めをかけるべく、昨年7月、「学校法人ガバナンス改革会議」が設けられ、制度改革が議論されてきた。しかし、ガバナンス会議が12月3日に報告書をまとめ、評議員会の位置付けを財団法人や社会福祉法人と同等の議決機関にするよう求める提言をしたが、学校法人経営者が猛反発している。取材を続けてきたジャーナリストが語る。

「提言を受けて法案作成に着手することが閣議決定されていたのですが、文科省は改革会議とは別に会議を作って再度議論することになりました。提言が気に入らないからと、もう一度やるというのは前代未聞です。提言内容に反対する一部の私学経営者が自民党の『文教族』に働きかけ、文科省も提言を無視することにしたようです。そもそも大臣に提言を手交する日程も取らず、改革会議の座長がねじ込んで、ようやく実現したのが10日後の13日。しかも当初は記者クラブにも伝えず、座長がひとりで来るよう条件をつけたとか。公式な提言として扱いたくなかったのでしょう」

 いったい誰が反対しているのか。

「私立学校の理事長の半分以上は創立者一族だと言われています。創立一族は学校を自分の財産だと思っていますから、理事長職を得ることで全権を掌握できる今の制度が好都合なのです。国から多額の補助金をもらっていたり、キャンパスの固定資産税が減免されていたりするだけではなく、理事長を代々受け継げば、相続税もかからずに財産を実質的に守っていけますからね。表に出て反対しているのは学者出身や天下りの理事長たちですが、本当に抵抗しているのは創立一族たちです。自民党の大物議員にも創立一族がいますが、裏で後輩の文科大臣に圧力をかけているともっぱらの噂です」

 税制上の恩典や多額の助成金は国民が負担している。「日本は大学への助成金が少ない」と不満を繰り返す一方で、当たり前のガバナンス体制の整備には抵抗する大学は、どこまでも「特別扱いされて当然の存在」だと思っているようだ。

デイリー新潮編集部

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