株式会社TOKIOの1年目を総括してみると

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完全独立ではなく社内起業

 V6の解散に、元男闘呼組・岡本健一のエージェント契約への移行など、2021年は40代~50代のジャニーズ事務所所属タレントの新たな出発が目立った。中でも、予想だにしなかったのが、TOKIOの“会社化”だろう。なかなかイメージがわきづらいが、『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著者・霜田明寛氏は「意外にちゃんと“会社”です」と語る。バンドから会社へ――株式会社TOKIOの1年目を霜田氏が総括し、“決算”を出す。

 年齢を重ねたアイドルがどう生きていくのか――。大きな変化があったジャニーズの中でも、前例のない形での変化を遂げたのが、会社として再出発を果たしたTOKIOである。51歳の“新人社長”の城島茂を筆頭に、脇を固めるのが47歳の国分太一と44歳の松岡昌宏の2人の副社長。

 リスキーな挑戦にも見えるかもしれないが、彼らはタレントとしてジャニーズ事務所から完全独立したわけではなく、広い意味での“社内起業”とも言える。一般企業でも、社員のまま子会社を作ったりするケースはままある。彼らの活動や行動理由は、アイドルではない人々にとっても、第二の人生を踏み出すヒントになるのでは――ということで、本稿では2021年に本格始動した“株式会社TOKIO”について見ていきたい。

日経新聞に出した広告

 まず、株式会社TOKIOは意外にちゃんと“会社”である。意外に、という言い方も失礼かもしれない。筆者が言いたいのは、タレントが名義貸しだけして小遣い稼ぎ的にやっているような会社ではない、ということである。

 2021年4月。3月一杯をもって長瀬智也が退所し、3人になったTOKIOが会社としての始動を宣言する広告を出稿したのは日本経済新聞だった。

 実際の業務はといえば、フマキラーの会長や、丸亀製麺を経営する会社の社長など、クライアントと直接対面し、社員もいる中で企画会議に参加したり、商品開発に協力したり。実際に、彼らが資料を作り、プレゼンテーションまで行うこともあるという(*1)。

 国分太一は、一見、自身には出演メリットのなさそうな、オンライン配信の起業家セッションのようなものにまで登壇するなど、タレントであることに胡座(あぐら)をかくことなく動いているようにも見える。番組内企画「DASH村」で縁のあった福島県には「TOKIO課」が創設されるなど、企業のみならず、自治体との取り組みも行っている。

 そして、ただ真正面から取り組むだけではない。国分がクリエイティブ・ディレクターを担当したフマキラーのCMでは、テーマソングを作曲したり(*2)、3人で出演した丸亀製麺のCMでは、CM中に登場する木製の机まで自ら制作したりするなど、バンドでありながら農作業も得意にしてきた、彼ら“らしさ”もプラスして仕事を遂行している。実直さに加え、必要に応じて個性もプラスする、理想の仕事のあり方だ。

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