夫の白骨遺体を井戸に隠した「年金不正受給」妻の凄絶人生 障害を抱える息子を養育しながら一人で生活費を工面

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「気の強い女性」

 およそ40年前、他所から見合いでこの家に嫁いできた山田容疑者は、昔から近所づきあいを好むタイプではなかったとして、先の男性はこう振り返る。

「結婚した当初、民子さんは“だまされた”と周囲に愚痴っていてね。亡くなった旦那さんは知的障害があって満足に働ける状態ではなく、同居していた姑ともうまくいっていなかった。結婚してすぐ生まれた一人息子も、重度の障害を抱えて苦労が絶えない様子だったから……」

 現在40代という一人息子は、全裸で外を歩き回る癖を持ち、スーパーや女性のいる家に侵入して警察が出動する騒ぎになることも度々あったようだ。

 別の近隣住民によれば、

「お巡りさんから“息子さんを施設に入れては”と提案されたけど、民子さんは“うちの子じゃ。ほっといてくれ”とすごい剣幕で食ってかかっていた。男みたいな口調で喋る気の強い女性で、町の住民が訪ねても“ウチは阿呆が2人いるから近所づきあいはできん”と怒鳴っていた」

 孤独を深めていく一方で、同居していた義理の両親を20年ほど前に亡くしてから、暮らしの負担が増えていった様子も窺(うかが)える。

「遺された広大な畑や果樹園を実質的に民子さん一人で切り盛りしなくちゃならなくなった。梨の栽培は結構な収入になるけど、消毒作業など人手がかかるからできなくなってね。一つ何十円かにしかならない大根とか白菜とかの野菜を軽トラに積んで、徳島の日曜市で売って生計を立てていた。場所代も取られるから大した儲けにはならんでしょ。それでも生活費を稼ぐため、毎日モンペ姿になって朝から日が暮れるまで野良仕事をしていた。そこまでしても食べていけず、土地も少しずつ切り売りしていたようだね」(同)

 一人息子の様子をしきりに心配する山田容疑者は、病院にいると警察から聞かされると、安堵の表情を浮かべていたという。

週刊新潮 2021年12月16日号掲載

ワイド特集「地獄が呼んでいる」より

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