TBS「東大王」に訪れた危機 スター不足、芸能人チーム…そして3つめの理由は?

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スタイルに「飽き」

(3)東大生を前面に押し出し、難問を解くスタイルが飽きられた

 前出「パネルクイズ アタック25」は視聴率低下が一番の理由になって46年の歴史に幕を下ろした。ところが、終了が発表されると、惜しむ声が一斉に上がった。現在のクイズ番組にはない魅力的な部分があったからだろう。

 魅力の1つは問題が比較的平易で、身近な一般視聴者が回答者になったところに違いない。回答者の学歴が明かされることはまずなく、商店主やサラリーマン、主婦、教員らが同じ土俵に立って懸命に問題を解くところが面白かった。

 問題が比較的平易だからテレビを観る側も問題を一緒に解くことが可能だった。参戦する気分が味わえた。

「東大王」にもひらめきを重視する問題もあるが、基本はやはり知識を重視。難問が多いから、視聴者側が回答を競うのは至難だ。参加者意識が味わいにくい。

 社会学者の故・赤塚行雄さんから「時代は旋回しながら少しずつ進むもの」と教えられたことがある。「時代は急に進んだかと思うと大きく戻り、結局は少しずつ進む」ということ。

 クイズ番組の世界も2010年代半ばまでに比較的平易な問題が飽きられたように見えたが、2019年にスタートした「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」(日本テレビ)が健闘しているのを見ると、比較的平易な問題が再び求められているのではないか。

「あなたは小学5年生より賢いの?」の世帯視聴率は11月26日放送が9.0%、個人全体が5.5%、11・19日放送の2時間スペシャルが世帯10.1%、個人全体6.3%、11・12日が世帯10.2、個人全体6.1%。大半が2桁台に達している。「東大王」よりかなり上だ。

 日本テレビにとってこの番組のプラス面の1つは「親子で観てもらえる」ところ。コア視聴率(13~49歳)は「東大王」の2倍近い。

「東大王」が岐路に立たされているのは間違いない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部

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