オミクロン株「弱毒化」説を検証 終息への“救世主”となる可能性も

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行動制限は必要か

 Q.大人を含め、日本でも感染は拡大するか?

 事実、日本でも17人(12月13日現在)の感染者が見つかり、対岸の火事とは到底思えない。寺嶋教授が続ける。

「水際対策をどれだけ厳しくしても、流入を完全に止めるのは難しく、感染が拡大する可能性はあると思います。その際、オミクロン株自体の感染力のほか、ワクチンの効果、感染対策の状況などが関係し、特に波の高さに関しては、感染者が増えてきたとき、行政が早めに対策を講じられるかに関わると思います」

 ただし、今後はこれまでとは状況が異なるという。

「今後は内服薬など、新たな要素も加わる。わが国で承認申請中の米メルク社のモルヌピラビルは、入院予防効果が30%、それに続くファイザー製は、80~90%といいます。仮にそれらのおかげで、入院を50%減らせるようになったとすると、感染者数に対して入院者数は、これまでの半分になります。そうなれば、感染者を減らすための行動制限も、いままでほどは必要でなくなります」

揃いつつある病床数

 Q.仮に感染が予想を超えて爆発した場合、医療逼迫は避けられるのか?

 第5波の最大の不幸は自宅療養中の急死だった。岸田文雄総理は、二度とそういう事態を招かないために、病床の3割増を打ち出したが、実現できているのか。

 東京都政策企画局の最新の資料によれば、第5波にくらべ、病床数は240増やして6891床に、宿泊療養施設も16施設、約3200室から、31施設、約7900室にまで拡大されている。このデータを見て寺嶋教授が評価する。

「次の波に対し、東京都はしっかり準備していると思います。“保健所や発熱相談センターを介さない診療・検査態勢の拡充”も打ち出され、私はこれが一番重要だと思います。いままでのように保健所がパンクしてしまっては、早く内服薬を処方できれば重症化を防げるケースでも、間に合わず、結果的に医療が逼迫してしまう。都はいろいろと対策を練っているようですが、あとはどれだけスムーズに働くかが重要です」

 では、大阪はどうか。第5波が猛威をふるっていた9月1日に確保されていた病床数は、重症病床589床、軽症中等症病床2665床、宿泊療養施設の部屋は6131室だった。12月5日現在、それぞれが606床、3031床、8514室に拡大され、大阪府健康医療部保健医療室保健医療企画課計画推進グループによれば、

「重症病床610床、軽症中等症病床3100床、宿泊療養施設1万室を目標に据えています」

 少なくとも病床数は、揃いつつあるようだ。

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