北京五輪をボイコットせよ! 「Jアノン」が1年ぶりに大集結を実況中継

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お得な無料チケットも

〈本日はデモへのご参加大変お疲れ様でした!! 私も参加させていただいた一人です。デモ主催者にお許しいただき、個人的に皆様にこのチラシをお配りさせていただきます。(略)このようなデモに参加される皆様は、そもそも愛国心の塊のような方だと思いますが、ぜひご覧くださって、再確認していただければ幸いです。〉

 そこに書かれたメールアドレスに連絡すると、映画の無料チケットをもらえるという。お得なチラシだ。

 さらにデモ後の街宣では、Qアノンの陰謀論に登場するディープ・ステートを云々する演説や、新型コロナウイルスのワクチンを批判する演説もあった。宗教、陰謀論、愛国、反共が混沌をなした運動だ。

 昨年のトランプ支援運動が反中共運動に変化したわけではない。トランプ支援運動そのものが、彼らの宗教的な信条に基づく反中共運動の一環だった。中国共産党に対抗できる大統領はバイデンではなくトランプであるという文脈が前面に打ち出されていた。「中国の驚異から日本とアジアを守ろう!」「Take down CCP(中国共産党を倒せ)」といったシュプレヒコールも繰り返されていた。

国会議員からの激励も

 これに混じって、幸福の科学教祖・大川隆法氏を称える「ウィズセイビア!(救世主とともに)」というシュプレヒコールがあがる場面もあった。一連の運動は幸福の科学の公式活動ではなく信者有志によるもの。しかし信者たちは、デモや街宣の場で信者であることを自ら堂々と明かす。

 サンクチュアリ教会関係者は自身の所属も信仰も明らかにはせず、直接的な宗教アピールはなかった。とはいえ統一教会は、2015年に分派したサンクチュアリ教会の数十年も前から、「国際勝共連合」等を通じ教団を挙げて反共運動を展開してきた。

 なかでも幸福の科学信者の中国共産党に対する「敵意」はすさまじい。私は幸福の科学から敵視されており、信者の中には私を「悪魔」と呼ぶ者もいるほどだが、この日のデモでは信者から「中国共産党を倒すためなら藤倉さんとでも手を組む」と言われた。信仰のために悪魔と手を組むのでは本末転倒のような気もする。しかし、とにかくそれほどまでの覚悟なのである。

 これを意気に感じてのことかどうかはわからないが、今回のデモには激励メッセージを送った国会議員が複数いた。デモ前のシンポジウムの締めくくりに、主催者が代読した。名前が挙がったのは、杉田水脈・衆議院議員、三ッ林裕巳・衆議院議員、山田宏・参議院議員、和田政宗・参議院議員だ。

 参加者120人という数は、最大で1000人近く集めた昨年のトランプ支援デモに比べ遥かに少ない。しかし、国会議員の応援メッセージまで集まるあたりには、政治的な広がりを感じさせられる。今後、福岡や大阪でも同様のデモが予定されているという。

藤倉善郎(ふじくら・よしろう)
ジャーナリスト。1974年生まれ。宗教団体以外も含めた「カルト」の問題を取材。2009年にはカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、カルト被害、カルト2世問題、カルトと政治の関係、ニセ科学やニセ医療、自己啓発セミナーの問題などの取材を続けている。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島SUGOI文庫)。

デイリー新潮編集部

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