オアシズ・大久保佳代子が売れ続ける理由は? 「何者でもない」ことの求心力

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「何者かになりたい」と誰もが思っている時代。Z世代のなりたい職業1位はYouTuberになったそうだ。他者の注目を集めることに躍起になる人が多い中で、大久保佳代子さんは不思議な存在感を放っている。

 オアシズとして幼なじみの光浦靖子さんとコンビ結成後、事務所からスカウト。業界内でも光浦さんのキャラは注目され、彼女だけがレギュラーとなった「めちゃイケ」がコンビの名前を全国区に押し上げた。2000年に大久保さんもようやく番組に合流するが、10年までコールセンターのOLを続けていたという苦労人である。

 大久保さんが面白いのは、いつがブレイクの潮目だったのかハッキリしないことだ。もちろん、「めちゃイケ」での露出がひとつのポイントだったのは確かだろう。でも持ちネタや特殊なキャラで当たったという印象がないのだ。実はコンビでもピンでも華々しい受賞歴があるわけでもなく、コントを披露した回数も少ない。キャラという点では相方の光浦さんの方が強烈で、高学歴キャラやエッセイ執筆、近年では手芸など、さまざまな分野で頭角を現していた。でも大久保さんは、本当にどこにでもいるOLさんそのものだった。

 コントもしない、受賞歴もない、何か趣味に秀でていることもない。それでも毎日のように見るという、特異なポジションを築いた「無冠」の大久保さん。ご本人は「エロいOL一本でやってきた」というだけに、下ネタに持ち込むコメントは確かに多い。それでも、エロを売りにしているとは言い難い奥ゆかしさを感じてしまう。紺野ぶるまさんや清水あいりさんのように、扇情的なワードを散りばめて持ちネタにする女性たちや、赤裸々に下半身事情を語る岩井志麻子先生らに比べれば、毒気は少ない。大久保さんには「エロ」より「OL」の比重の高さを感じる。つまり極端な才能ではなく、普通の視聴者の感覚を忘れていないから売れ続けているのではないだろうか。

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