韓国で2人目のノーベル平和賞に執念を燃やす文大統領 「南北の終戦宣言」のために「北の誠意に報いない米国を挑発」

国際 韓国・北朝鮮

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アジア諸国の中で米国が最も信頼できる国は

 しかし、米国側の学会やシンクタンク関係者らは「北朝鮮がミサイルを発射しなかったことを称賛するのは『今日殺人をしなかったからよくやった』と褒めることと同じだ」と、“米国に対する責任転嫁論”を一蹴している。

 こうした政治エリート同士の溝は一般国民の間にも広がっていると見るべきだろうか。

 2020年11月に米国の世論調査機関ハリスが日本外務省の依頼を受けて実施した調査の中に、「アジア諸国の中で米国が最も信頼できる国」という項目があった。これに米国民は日本(37%)、韓国(9%)、中国(8%)と回答している。中国を信頼する米国民が少ないのは理解できるが、それと韓国が同水準だというのはショッキングな事実だと受け止められている。

 今回のシンクタンクが開催したセミナーで韓国は、トランプ前大統領退任後、北朝鮮に大きなアクションを起こさない米国を挑発した恰好だ。北朝鮮のリ・テソン外務次官が今年9月に「米国による敵対視政策が残る限り、終戦宣言は虚像に過ぎない」と発言しており、宣言を勝ち取るためには米国を挑発して行動させるしかない。

米国が終戦に一役買ってくれるわけがない

 もっとも、そういった文大統領側近の努力とは裏腹に、韓国民の反応はおしなべて冷ややかなものだった。コメントをピックアップすると、
「利口だと思っていた人たちが文政権に入ったら皆クレージーになる。大統領府には新型コロナではない感染病があるのでは?」「いっそ戦争した方がマシかも。ずっと北朝鮮に引きずられるよりは……」「米国が終戦に一役買ってくれるわけがないだろう。巨大な武器市場がなくなるのに…バカじゃないの?」など、文大統領の“北朝鮮熱”とは対照的だ。

 就任から1年ほどはあちらこちらで聞こえていた文大統領に対する称賛も今は昔。加えて、自身や家族をめぐる不動産不正疑惑なども持ち上がっており、「退任後は多くの歴代大統領と同様に彼も監獄送りになるだろう」と言われているほどだ。万が一ノーベル平和賞を受賞することになっても、それを妬み引きずり降ろそうとする勢力は必ず存在する。歴代大統領と同様、退任後、優雅に隠居生活を送るのはなかなか難しいのかもしれない。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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