トラスト・ミー「鳩山由紀夫」に似てきた…自民党から上がり始めた岸田外交に不満の声

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 スタートしたばかりの岸田文雄政権が早くも「言うだけ外交」と批判されている。追及の手は野党ではなく、自民党内や保守派といった「身内」からだ。言葉では同盟関係にある米国との関係は維持すると言い張りながら、中国との距離感も縮める姿勢には、トラスト・ミーと言って米国大統領を呆れさせた民主党の鳩山由紀夫政権時代を彷彿とさせるとの声も漏れる。

「このタイミングで外相が訪中すれば、国際社会に間違ったメッセージを送ることになる」。自民党外交部会長の佐藤正久参院議員は11月27日のBS番組で、林芳正外相の姿勢を強く牽制した。事の発端は、林外相が民放テレビ番組で中国の王毅外相から招請を受けたとして「調整していこうということになっている」と明かしたことだった。

 外務省を担当する全国紙記者が解説する。

「香港や新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり、欧米は中国包囲網で国際的な歩調を合わせていこうというタイミングです。そんな時に日本の外相がノコノコと出向いて中国で握手するようなことになれば海外に間違ったメッセージを出すことになる。もしも実現したら日本外交の汚点ですよ」

 日中友好議員連盟の会長を長く務め、自民党内でも「親中派」として知られる林外相。自民党には、福田達夫総務会長のように「国益を守るためにも関係づくりをしなければいけない相手に対して、外相という職務を果たすのは当たり前だ」と擁護する声もある。だが、「外交部会に所属する多くの議員の意見とも違う」(佐藤氏)という怒りの声は強く、林氏は24日の記者会見で「現時点でまだ何ら決まっていない」と火消しに躍起となった。

「言うだけ外交」、思い出すのは…

 とはいえ、一度でも前向きに発したメッセージはそう簡単には消えない。前出の全国紙記者が語る。

「岸田首相は12月6日召集予定の臨時国会前に訪米し、バイデン大統領との首脳会談を調整していました。しかし、訪米は先送りになった。米国内の事情があるにせよ、対中外交での歩調が日米間で合わなかったことが不安視されたことも仕切り直しの理由と言われています」

 すでに自民党内から「言うだけ外交」と批判される岸田外交は負の影響を与えているのか。林外相は「米中両方とも話ができるのが日本の強み」とするが、この発想は鳩山政権時代の「日米中正三角形」論を思い出させる。自民党政権の対米関係を批判した鳩山政権はアジア外交強化を唱え、民主党の小沢一郎幹事長や山岡賢次国対委員長らが日米中3カ国を等距離とするスタンスをとったことがある。小沢氏率いる総勢約500人の大訪中団は中国で厚遇されたが、鳩山首相の対米外交はギクシャクし、米軍普天間飛行場移設問題で迷走の末に辞任を余儀なくされた。

 そうした鳩山政権の外交を岸田首相や林外相も批判していたはずだが…。

 自民党担当の全国紙記者が語る。

「岸田、林両氏は自民党内のリベラル派、ハト派(穏健派)を代表する宏池会に所属しています。そもそも『日米中正三角形』論は先輩が言っていたことであり、その考えは2人に染みついているのではないでしょうか」

 岸田氏の近著『岸田ビジョン 分断から協調へ』には、宮澤喜一元首相ともう一人、宏池会(現・岸田派)の会長を務めた人物が取り上げられている。その加藤紘一元幹事長こそが「日米中正三角形」論を元々主張していたのだ。地理的条件や歴史的つながりから日中関係は、日米関係と「同等の重さ」になるとした加藤氏は「政治のイロハを岸田氏らに教えた偉大な先輩」(岸田派議員)という。

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