インバウンド不況で店舗減 「ラオックス」が始めたアジア食品店の意外なターゲット

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 2009年に中国企業の傘下に入った「ラオックス」は、家電量販店から訪日外国人向け免税店へとシフトし、一時はインバウンド特需を象徴する存在となった。ところが折からのコロナ禍によって、店舗の休業・閉店が相次ぐ事態となっている。そんな同社が始める「アジア食品専門店」は果たして吉と出るのか。マーケティングアナリストの渡辺広明氏が取材した。

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 2020年のはじめに32店舗あったラオックスだが、現在は東京に5店舗、京都に1店舗を構えるのみ。今年8月の時点では北海道や大阪をふくめ13店舗だったから、新型コロナウイルスの感染者数が減った今も、同社の苦境は続いているといえるだろう。ただし、最近は国内に目を向けた業態で再起をはかろうとする動きもある。そのひとつが、12月3日に東京・自由が丘にオープン予定のセレクト化粧品店「LAOX BEAUTY AIRPORT」。そして11月25日に東京・吉祥寺に開店した食品店「亜州太陽市場」だ。どちらもアジアに特化した商品を展開する。

 開店から初の週末を迎えた11月28日に「亜州太陽市場」を訪問した。訪れたのは昼過ぎだが、入店待ちで20人ほどの列ができていた。オープニングセールということもあり「25日の開店時からずっと列ができている」(近隣住民)そうで、期待の高さがうかがえる。

 およそ140平方メートルの店内は、「調味料 中国」「食品 韓国」といった形で、ジャンルと国別の棚で商品が分けられている。公式の情報では、150種類のインスタント麺や240種類の調味料など、アジア12の国と地域の食品を1400品揃えているという。免税店として外国人観光客を相手にしていたラオックスならではの仕入れルートがあるのだろう。すでに品切れの商品もあって、たとえばセール価格で298円(税込)になっている目玉商品「農心 辛ラーメン5袋」は在庫がなかった。ほかに新大久保の人気韓国料理店「金達莱」の総菜や、冷凍食品も置かれている。

 店内には会計待ちの列もできていた。これほどまで「亜州太陽市場」が人気なのはなぜか。どういった層に需要があるのか。

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