小川淳也 涙のギリギリ出馬“舞台裏” 今も残る排除の禍根と立民特有の体質が浮き彫りに

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身内で批判し合う体質

 また総選挙の翌日、小川氏はTBSの「ひるおび!」に出演。「立憲が負けたのは左に寄りすぎたから」という指摘に対して、「おっしゃる通りだと思います」と答えました。これまで野党共闘を積極的に進めてきた小川氏のこの発言は、党内のリベラル派から強い反発を受けました。

 日本維新の会への「アポなし突撃事件」も含めて、小川氏の行動や発言は軽率という批判を免れません。あるベテラン議員はこう語ります。

「一生懸命なのは分かるけど周りを見渡す余裕や、行動や発言のハレーションくらい考えられないと、とても代表は務まらないよね。軽いんだよ」

 しかし話を聞くにつけ、このような批判には突然脚光を浴びた小川氏に対する妬みややっかみも感じられるのです。ある立憲議員は「とにかくうちの党はちょっと目立って批判を受けると、内部から引きずり下ろす動きが激しくなる。これではいい人材が育たない」と嘆きます。軽率な行動や言動は慎まなければなりませんが、身内で批判し合う体質を改めない限りは、いつまでも安定した党運営はできないでしょう。

「半年後に墓場に入っても」

 土俵際いっぱいで代表選出馬が決まった夜、小川氏は私にこう語りました。

「半年後に墓場に入っても本望です。身を捨てる覚悟でやります」

 小川淳也50歳。34歳で初当選した時から、全力で走って50歳を過ぎたら政治家引退を考えるとしていました。身を捨てる覚悟は小川氏の真骨頂でもあります。

 ただ一本化が決まった後、電話口で号泣されたという蓮舫氏は周囲にこう話しています。

「小川さんはもう泣いたら駄目ね。政権交代を果たすまで涙を封印すると宣言しないと」

 まじめで直情型の小川氏の姿勢や行動が、立憲民主党の信頼回復や期待感につながっていくのか、代表選では問われることになります。

 野党が政権の受け皿として再生するかどうかは日本政治の今後を左右します。4候補の戦いの行方を、我々国民も注目していく必要があるでしょう。

青山和弘(あおやま・かずひろ)政治ジャーナリスト
1968年、千葉県生まれ。東京大学文学部卒。92年、日本テレビ放送網に入社し、94年から政治部。野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップ・解説委員を務める。与野党を問わず幅広い人脈を持つ。本年9月からフリーの政治ジャーナリスト。

デイリー新潮編集部

2021年11月22日掲載

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