「ドクターX」製作費は1話1億円?視聴者は知らない本当の製作費とギャラ事情、テレビ局の本音

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もっとも高いドラマは

 では、制作費が一番高いテレビドラマは何かというと、NHK大河ドラマ「青天を衝け」である。その額、7900万円。これは公開資料で裏付けられている。同局の「2021年度 収支予算と事業計画の説明資料」に最も高額の制作費として記されているのだ。

「青天を衝け」と具体的なドラマ名こそ書かれているわけではないが、NHK関係者や放送記者なら誰でもすぐ分かる。NHKのドラマで最も制作費が高いのは、いつの時代も大河なのである。

「青天を衝け」にカネがかかっているのは見ているだけで分かるはず。時代設定が江戸時代のころはリアルなセットが組まれていた。馬も登場したし、合戦のシーンもあった。明治期に入ってもセットや衣装はリアル。「ドクターX」も含めた民放のドラマとはカネの使い方が比べものにならない。

 そもそも「ドクターX」はロケ地として千葉大学病院や同大医学部を借りている。このため、セット代はそう高額にならない。ほかの医療ドラマもそうである。

 ギャラに限るとNHKは民放より安いが、制作費が大河を超えるドラマは昔も今も民放には存在しない。役者の顔ぶれ、出演者の人数を見ただけでもそれは分かるはず。

 民放ドラマのギャラはプライム帯の主演だと約100万円~約300万円。1人のギャラを突出して高くすると、違う役者からクレームが出る可能性があって、この相場は崩れない。例えば主演が800万円で準主演が100万円以下だったら、不満の声を抑えられなくなる。

 米倉涼子(46)のギャラについては800万円や500万円、400万円という報道があったが、これを信じるドラマ制作者、芸能プロ関係者はいない。単に相場から懸け離れているだけでなく、それでは米倉が損をしかねないからだ。

 米倉のギャラが本当にこの金額だったら、テレ朝内から「米倉のギャラは高すぎる。ほかの主演で別のドラマは撮れないのか」という声が上がりかねないのである。採算の問題だ。

 テレ朝の同じ木曜午後9時台で7月期に放送された「緊急取調室」も世帯視聴率が高く、12%台あった。本当に米倉が破格のギャラを得ていたら、こちらのほうがテレ朝にとって魅力的なドラマになりかねない。

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