番宣ナシでも高評価の綾野剛「アバランチ」 現代劇では約10年ぶり“喫煙シーン”の効果は?

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 関西テレビが制作するフジテレビ系のドラマ「アバランチ」(月曜午後10時)は綾野剛(39)主演のハードボイルド作品。女性向けのソフトな作品が目立つ昨今にあって希少な存在だ。今のドラマではほとんど見られなくなった喫煙シーンも登場する。

「アバランチ」のチーフ演出家は、綾野の主演映画「ヤクザと家族 The Family」(今年1月公開)を撮った藤井道人監督(35)。現代邦画界を代表する監督の1人だ。なので、「アバランチ」もカメラワークや照明が映画のようだと評判が高い。

 放送前から早々と異彩を放っていた。番宣をほとんどやらなかったからだ。これは良かった。ハードボイルド作品であるにもかかわらず、綾野がバラエティー番組に笑顔で登場し、「見どころはここなんですよ」なんて説明したら、興ざめだ。

 出演契約書には往々にして「番宣に協力する」と定められているものの、作品によってはこの条件を除外したほうがいい。逆効果になる。この作品などはそうだ。

 タバコを吸うシーンが登場するのも野心的で面白い。現代劇にタバコが登場するのは約10年ぶりになる。

タバコの“自主規制”

 誤解している人も多いが、「ドラマにタバコを登場させてはならない」というルールはない。そんなことをしたら、表現の自由に触れる。厳然とあるのはタバコCMの自主規制。2004年に設けられた。

 とはいえ、どこの局もクレームは付けられたくないから、自粛の形で現代劇からタバコを消した。「相棒」(テレビ朝日)などの刑事ドラマにタバコをせびる容疑者は出てこなくなった。

 日本たばこ産業の職員によると、タバコのCMが流せなくなった当初はなんとかドラマにタバコを出そうとした。スタッフに制作費の援助も約束し、タバコを映してもらおうとした。だが、うまくいかなかった。局側が視聴者の反発を警戒した。

 そう考えると、「アバランチ」というドラマはやんちゃだ。半面、テレビの規制は視聴者が思っているほど多くはない。ほとんどがテレビ局側による自主規制か自粛。テレビの表現を狭めているのは自分たちなのだ。

 劇中、綾野が演じる主人公・羽生誠一はうまそうにタバコをくゆらせている。このシーンがあるのとないとでは羽生という男の印象が随分と違う。

 羽生が吸っているのは煙が少ない現代風の加熱式タバコじゃない。昔ながらの紙巻きタバコ。また、間違ってもニコチンパイプなんて付けていない。 

 10月25日放送の第2話での1本目は屋上で吸った。

「仲間に気を使ってオープンスペースで吸ったんだな」と思ったが、まるで違った。2本目は同乗者がいる車の中でのくわえタバコだったからだ。羽生は吸いたいところで吸っているのである。

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