韓国でMRI検査中、10キロの酸素ボンベが突っ込んで患者死亡「安全で安心な韓国はどこへ?」の声

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

Advertisement

カメラ設置を求める声が

 さらに2023年の施行後は、手術室に外部ネットワークと接続しないカメラの設置を義務化させ、全身麻酔などで意識のない患者を手術する場合には、患者や家族の要請があれば録画できるようになる。病院は救急や危険度の高い手術など正当な理由がなければ録画を拒否できず、病院側がカメラ設置を拒否すれば約50万円以下の懲役が科されることも決まっている。

 14万もの会員が所属する同国医師会は「カメラによる監視は医師に対する信頼を損ない、患者のプライバシーを侵害しかねない」と、この法案可決に強く抗議してきた。しかし、今回のMRIによる医療事故によって設置を求める声は増えていくだろう。

 医療事故の数については、韓国「メディカルツーデイ」が昨年10月に掲載した記事によると、国立の大学病院だけで過去5年間に814件(年間平均163件)あったことが明らかになっている。

 年度別にみると2015年:112件、2016年:114件、2017年:160件、2018年:238件、2019年:190件と、増加傾向は顕著だ。医療事故件数が最も多かった病院はソウル大学病院本院で、過去5年間で199件。続いて釜山大学病院本院が99件、ソウル大学病院分院が86件の順だった。

「安全で安心な大韓民国を作るって」

 日本の場合、公表された医療事故発生報告件数(https://gemmed.ghc-j.com/?p=39345)を見ると、全国の医療事故件数は2015年:81件、2016年:406件、2017年:370件、2018年:377件、2019年:373件で、2020年:324件とある。

 一見、日本の方が多いと早とちりしそうだが、先ほどの韓国の医療事故件数は「国立の大学病院」でのもので、日本の件数は「全国」でのものだ。

 では、韓国「全国」の医療事故件数は何件か。正確なデータは不明だが、「ソウルパブリックニュース」が報じた今月12日の記事によると、2017年から2020年までに終結した医療紛争調停申請件数が計1万48件(年平均:約2,500件)あったと書かれている。

 韓国の国立大学病院の医療事故と、この調停申請件数などを見る限り、人口あたりの全国医療事故数は日本よりも韓国が圧倒的に多くなる可能性大である。その医療事故の中には先述の通り違法な医療行為も含まれている。

 今回のMRI事故を受け、掲示板やSNSには韓国民からは「文在寅(ムン・ジェイン)よ、安全で安心な大韓民国を作るって言ってたよな?」「本当に韓半島では経験もしたことがない事が起こり続けているね」「最近の医者たちはサクラか?」「基本を守らないからあちらこちらで事故が起こるんだ」「病院で119に電話して、一体どこへ行こうとしてたんだ?(※119は韓国の110番にあたる、事故後、病院は119に通報し救急室で心肺蘇生術を行った)」などといった批判や医療不信のコメントが寄せられている。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月26日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。