インドネシアで日本人の「美人局」被害が続出 見覚えのない薬物で逮捕、警察もグル

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示談金800万円

 中には尿検査で薬物反応が出て、「薬物所持」だけでなく「使用」の容疑までかけられた日本人もいるという。事前に女性と飲んだビールに薬物が含まれていた可能性が高いとされる。

 このケースの男性は、弁護士から「日本円で500万円相当を用意すれば、即日釈放できるよう警察と交渉する」といわれ、現金を手渡しで払ったそうだ。領収書はもちろん、警察にも記録は一切残っていない。警察官や弁護士の身分を確認する術も残されていない。そもそも被害者としても、世間体を気にし、事件として立件することを望んでいない。

 出会い系アプリで知り合った女性から、「最初は恥ずかしいからクリスタルメッシュが欲しい」と乞われ、それが麻薬の一種と理解しないまま購入のために送金した被害者もいる。その後、自宅での逢瀬の際に女性から勧められるままにクリスタルメッシュを服用、そこへ警察が踏み込んで……というパターンだ。この時は示談金として800万円相当を払ってしまったという。

「薬物は自分のものではなく、女性が残したものである」と主張し、示談を断固拒否した事例もある。この男性は、薬物不法所持容疑で起訴され、最終的に禁固刑の実刑判決を受け収監されてしまったという。ここまでくると、裁判官までもがグルとなっている可能性が極めて高い。インドネシアでは、判決は「金次第」。富裕層の容疑者は無罪判決を買い取るために金を惜しみなく投じ、逆にこうした賄賂に応じない裁判官は、脅迫を受けるほか、ひどい例では殺害されてしまったケースもあった。

 上記の例も、きちんとした手続きを踏んだ裁判であれば、けっして禁固刑になるほどではないはずだ。裁判前から弁護士側、検察側ともに話がついていて、それぞれに分け前が渡っているのは間違いないだろう。

 もちろん、グルであることを証明する証拠はない。そんな手がかりを残すような素人ではないのだ。地元メディアも誰も本気で追及したりしない。これがインドネシアの実情なのだ。

危機意識の乏しく甘い在留日本人

 美人局はインドネシアに限らず、タイやフィリピンでも起きている。ただ、多くは女性が生活費などを求め、知人のコワモテの男性や彼氏と協力して起こすもの。今回のインドネシアのような、組織だった犯行はあまり例がないとみられている。騙された状況が状況だけに、「泣き寝入り」している被害者もいるはずだ。今回明らかになったのはあくまで氷山の一角との見方もある。

 東南アジアでは、日本人は金持ちで優しいと評判がいい。カネを目当てに接近してくる海千山千の女性は多く、甘い言葉にはくれぐれも気を付けたいものである。

大塚智彦(フリーランスライター)

デイリー新潮取材班編集

2021年10月24日掲載

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