阪神、まさかの大失速…2008年の悲劇を再現してしまった“戦犯選手”リスト

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若手選手の成長は大きなプラス

 そして、最も大きな誤算だったのが、西勇輝、大山悠輔の“投打の柱”がシーズンを通して安定した成績を残すことができなかった点ではないだろうか。西は、4月こそ3勝をマークして、順調な滑り出しを見せたものの、夏場以降は完全に失速。中断期間を経ても調子が上がらず、後半戦は一度も7回を投げ切ることができていない。10月13日の巨人戦では2回途中に右肘の違和感を訴えて緊急降板。クライマックスシリーズでの登板も不透明な状況だ。

 一方の大山は、5月から8月の月間成績は2割前後が続くなど低迷した。9月に入ってから、ようやく調子を上げてきたが、シーズンを通じて4番としての役割を果たすことができなかった。佐藤と外国人選手が調子を落としても、大山が主砲として君臨していれば、ここまでチームの得点力は下がらなかったはずである。4番を守り続けて、ヤクルトを牽引した村上宗隆との差が出たと言われても仕方がない。

 最大のライバルと見られていた巨人が大きく失速し、2005年以来となるリーグ優勝の大きなチャンスだっただけに、後半戦の失速に失望したファンも多いのではないだろうか。ただ、長い目でみれば、ルーキーの伊藤将司、佐藤、中野が早くも主力となり、他にも投手では、及川雅貴や西純矢、村上頌樹、野手では小幡竜平や井上広大、小野寺暖、島田海吏といった若手選手が成長しているのは、大きなプラス材料だ。

 実際、勝率を見ても、19年の矢野燿大監督が就任した後、右肩上がりで上昇しており、チーム全体は良い方向に向かっている。投打の“太い柱”さえ、確立することができれば、ここ数年のうちに05年以来のリーグ優勝を成し遂げる可能性は決して低くはない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月23日掲載

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