THE TIME, 1週間で感じた安住アナの微妙な立ち位置 投手と捕手の両方は無理?

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ピッチャーとキャッチャーを兼ねてしまっている

「THE TIME,」は目下のところ、安住アナがピッチャーとキャッチャーを兼ねてしまっている。安住アナが絶妙のボケをかましても誰も突っ込まないから、自分でフォローしている。ピッチャーとして球を投げっぱなしの状態になっている。

 杉山真也アナ(38)や宇賀神メグアナ(25)らが進行役として出演しているものの、局長待遇で偉大な先輩である安住アナが畏れ多いのか。だが、このままでは安住アナの折角の一言が死ぬ。スタジオにも一体感が生まれにくい。

 杉山アナたちとは違い、スタジオのスタッフは安住アナのボケやアドリブによく笑うが、情報番組とニュースのスタッフはあくまで黒子。黒子が笑っていたら、安住アナのボケやギャグは単なる楽屋オチに過ぎなくなってしまう。

 香川の役もはっきりさせるべき。今はピッチャーだが、それを継続させるのであるなら、有能なキャッチャーを付けたほうがいいのではないか。香川のギャグで笑う人、突っ込む人、諫める人がいないと、アドリブが上滑りしてしまう怖れがある。

「THE TIME,」のコンセプトは「ニッポンの朝がみえる。」なのだそうで、ネット局と協力して列島中継をやっている。売り物の1つだ。

 だが、列島中継を買っている視聴者がどれくらいいるのだろう。疑問だ。情報量が少ないからである。

 例えば10月12日の中継地点は9ケ所あった。熊本市、弘前市、福井市、北海道占冠村、和歌山県白浜町、横浜市・八景島シーパラダイス、東京・下北沢と同・品川駅である。

 とはいえ、弘前市、福井市、冠村、白浜町はネット局が据え付けている固定カメラの映像を流しただけ。リポート等はない。これではネットのライブ映像と変わらない。

 新聞・雑誌でもありがちなのだが、記者を多くの取材ポイントに配置すると、デスク(現場責任者))は満足してしまいがち。もっとも、問われるのは取材ポイントの数ではなく、情報量と質である。

意義の不明な情報コーナー

「あさチャン!」から引き継いでしまったのが、T層(男女13歳~19歳)とF1層(女性20歳~34歳)の視聴率の低さ。半面、この層を軽視しているわけではないようで、乃木坂46の梅澤美波(22)たちを担当者にした「TIMEスタンド」などのコーナーが設けられた。

 もっとも、このコーナーも残念ながら情報量が少ない。その日に発売された雑誌などを紹介するというのだが、11日放送分は「週刊少年ジャンプ」の「ONE PIECE」が1028話になったこと、「週刊ダイヤモンド」が普通のサラリーマンが資産1億円を目指す方法を掲載していること、「AERA」の表紙が杉野遥亮(26)~)でインタビューも載っていることを短く伝えた。

 内容のダイジェストを紹介したわけではないし、なにより、この3つの情報をセレクトした理由が皆目分からなかった。この番組で「ONE PIECE」が1028話になったことを知り、有益な情報を得たと喜ぶ人がどれくらいいるのだろう。

 番組は早晩、微調整が行われると見る。ネット局の視聴率も総じて低調だからである。安住アナの故郷、北海道のHBCもそうだ。ネット局の声はある種、社内の声より強い。別会社だからだ。

 自ら望んで登板したわけではない安住アナと新領域に挑んだ香川。2人が報われる日はいつ来るのか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月16日掲載

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