オリックスと広島が筆頭…ドラフトで“本当の即戦力”を獲得したと言える球団名

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ルーキーの活躍がチームに影響

 ロッテは、何よりも社会人ナンバーワンの広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)を3位で指名できたことが大きいだろう。最速154キロのストレートはアベレージでの速さも十分で、数字に見合う勢いが感じられる。さらに、カットボールやスプリット、カーブなど多彩な変化球を操り、コントロールが安定している。1年目からいきなりローテーションに加わる可能性も高い。

 5位の八木彬(三菱重工West)は、完全なリリーフタイプ。大学時代は故障に悩まされたが、社会人で見違えるほど体つきが立派になり、150キロ前後のストレートで押すパワーピッチングが持ち味だ。ロッテのリリーフ陣は、30歳以上の中堅やベテランが多く、勤続疲労も目立つ。社会人でリリーフとして結果を残している八木の加入は、大きなプラスになる。

 野手は、ルーキーイヤーでの活躍はかなり珍しいだけに、過剰な期待をかけるのは危険だが、野口智哉(関西大→オリックス2位)、古賀悠斗(中央大→西武3位)、中村健人(トヨタ自動車→広島3位)などは、アマチュアで安定した成績を残している。彼らは1年目から一軍出場のチャンスがありそうだ。

 総合的に見ると、3人の投手に加えて、野手でも即戦力候補がいるオリックスと広島の上積みが大きい。ドラフトは、即効性よりもチームの将来を考えるべきというのはもちろんだが、冒頭で触れたように、ルーキーの活躍がチームに与える影響が大きいシーズンがあることも事実だ。また、今回の記事で紹介した以外にも、プロの世界に揉まれることで、1年目から急激な成長を見せる選手が現れることにも期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月14日掲載

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