盛り上がらない日本の「ライブコマース」 “35兆円市場”中国との3つの違い

ビジネス 企業・業界 2021年10月14日掲載

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 インターネット上で活動し、大きな影響力をもつとされる「インフルエンサー」。お隣の中国では、彼らを起用したライブ配信販売(ライブコマース)が盛況で、数億円単位の金が動くことも珍しくない。一方、日本での盛り上がりはいまいち欠ける……なぜなのか。

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 日本貿易振興機構(ジェトロ)のレポートによると、2019年に4338億元だった中国のライブコマースの市場規模は、20年には1兆5000億元、21年には2兆元規模に拡大するという。日本円にして35兆円である。

 ライブコマースとは、簡単にいってしまうと、通販番組「ジャパネットたかた」のネット版のようなもの。配信者は、ネットの画像や文字情報だけではわかりにくい商品の使用感などをリアルタイムの動画で視聴者に伝え、ときに視聴者からのコメントに答えまがら購買を促す。

 中国のライブコマースで最大の規模を誇るのが淘宝直播 (タオバオライブ)というサービスで、業界の売り上げの5割ほどを占める。オンラインショッピングサイトの淘宝(タオバオ)から派生したプラットフォームだ。中国ではKOL(キー・オピニオン・リーダー)と呼ばれる、特定のジャンルに強いインフルエンサーがおり、彼ら彼女らの「おすすめ」を観て、視聴者は購入するか否かを決める。

 タオバオライブで最も影響力をもつとひとりが、薇婭(viya)という2016年から活動する女性だ。1児の母である経歴を活かして、コスメを中心とした生活用品を扱う。このほか、昨年はおよそ6億円の小型ロケットをライブコマースで売ったことも話題になった。

日本では奮わないライブコマース

 翻って日本はどうか。実は、先に名前を挙げた「ジャパネットたかた」も9月にライブコマースを始めるなど、徐々に導入の広がりを見せつつある。が、まだまだ中国レベルだとは言い難い。マーケティングアナリストの渡辺広明氏がいう。

「ライブコマースは今後は力を入れるべき販売戦略だと思っています。なぜなら、今後さらに情報が多様化していくと、これまでのように大々的に広告打つ方法ではモノが売れなくなるからです。広告よりも口コミを信頼する消費者も少なくありませんが、より“信頼できる口コミ”として、中国ではインフルエンサーおよびライブコマースが受け入れられています。また、若い人たちの間では、テレビや雑誌を差し置いて、スマホで視聴する『ネット動画』が情報を仕入れる手段のメインになりつつある。アメリカの調査会社のデータでは、1分間の動画はWEBサイトの3600ページ分の情報量があるといわれています。商品紹介には動画が圧倒的に向いている。そういう意味でも今後ライブコマースは重要なわけですが、日本企業での成功例はあまり聞きませんね」

 流通事情に詳しいさるジャーナリストも、こう語る。

「メルカリの『メルカリチャンネル』や、楽天市場の『楽天ライブショッピング』など、日本でもライブコマースの取り組みがないわけではありません。が、いずれも奮わずにサービスは終了しています。いわゆる『インフルエンサー』も、中国のKOLのような存在は育っていない印象です。強いていうなら『ゆうこす』こと菅本裕子(27)がそうかもしれませんが、自分の美容ブランドを立ち上げてしまったのは悪手でしたね。今後、彼女が美容系のインフルエンサーとして商品を紹介しても『じゃあ、自分のブランドの商品と比べてどうなのか』と視聴者はなってしまう。彼女としても、ライブコマースで活躍するインフルエンサーというよりは、タレント路線を考えているのでしょう」

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