岸田首相と“宏池会シンパ”の枝野代表は同類? 国会審議で見えてきた決定的な違いとは

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「私は多様性を認めて寛容で社会的な助け合いを大事にする。30年前なら自民党宏池会ですよ」(日本テレビ「スッキリ」)

 2017年、こう語っていたのは立憲民主党の枝野代表です。自らを「リベラル保守」と位置付ける枝野氏が、岸田首相が会長を務める派閥「宏池会」の政治思想にシンパシーを感じていたことは間違いありません。

 となると岸田氏が首相となった自民党と、枝野氏が率いる野党第一党・立憲民主党の違いは見えにくくなるのではないか? 総選挙における選択肢に差がなくなるのでは? そんな懸念が頭をもたげましたが、所信表明から代表質問にかけての論戦で両者の決定的な違いが見えてきました。【青山和弘/政治ジャーナリスト】

分配政策 具体論はこれから

 岸田首相は「新しい資本主義」を実現するとして「分配の強化」を掲げています。

 枝野代表は「分配なくして成長なし」と訴えています。成長戦略にどこまで力点を置くかの違いはあるにせよ、分配を強める方向性は同じ。肝心なのは具体策です。

 岸田首相は「子育て世代の教育費や住居費への支援強化」や「賃上げを行う企業への税制支援」、「看護・介護・保育などに従事している人々の収入増」などを主張しています。しかし一体どの程度の層でどのくらいの収入増につながるのかはまったく不透明です。

 また分配の財源についても「成長の果実」という曖昧なものしかなく、当面赤字国債に頼ることになるのは必至です。唯一総裁選で具体的に言及していた金融所得課税の強化は、今回封印してしまいました。自民党幹部の一人は「株価への影響もあるし、急いでやる必要はない。岸田さんらしい柔軟さだ」と話しています。

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