公明党が「18歳以下に10万円相当給付」で炎上 浅はか過ぎる公約のウラを読む

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公明党は「下駄の雪」

 公明党は1955年の統一地方選で議席を獲得し、56年7月の参院選で3議席を得て国政進出を果たした。

「その頃は、国が仏教の運営に積極的に関与すべきだという『国立戒壇』を主張するなど、かなり極端な公約が含まれていました。ところが93年、非自民・非共産野党による連立内閣が発足し、細川護熙さん(83)が首相となりました。公明党は万年野党を脱し、与党になったのです」(前出の記者)

 野党となった自民党は、政教分離の原則などを理由に公明党への批判を強めた。そして94年に自民党は、当時の社会党、新党さきがけと連立を組んで与党に返り咲く。公明党は野党に転落してしまった。

「公明党が野党になっても、自民党の追及は止まりませんでした。この時の苦境が骨身に沁みたのです。小渕恵三さん(1937~2000)が首相だった1999年に与党へ復帰し、これ以来、公明党は与党であることが最大の目的となりました。創価学会の信者には、本来は『護憲』という立場の人も少なくありません。それでも公明党は、自民党と連立与党を組むことを重視しているのです」(前出の伊藤氏)

 2012年、安倍晋三氏(67)が2度目の首相の座に就いた。その際、集団的自衛権の行使を容認する姿勢を打ち出し、公明党の対応が注目された。

 結論を言えば、公明党は安倍政権の方針を容認した。結局は自民党に追随することから、「下駄の雪」と揶揄する声もあったほどだ。

透けて見える“混乱”

「安倍政権の時、官房長官だった菅義偉前首相(72)とのパイプもあって、自公は緊密な関係でした。ところが最近は、人間的なつながりが失われています。新たに就任した岸田文雄首相(64)も、特に公明党とのチャンネルは持っていません。そんな状況で、総理総裁になったばかりという岸田さんをパートナーに、公明党は衆院選を戦わなければならないわけです。総選挙でどれだけ自民党が議席を確保できるのか、更に2022年の参院選では勝てるのか、なかなか読みづらい状況が続いています」(同・伊藤氏)

 自公の関係が緊密であり、なおかつ選挙での勝利が明白であれば、「我が党の政策はこういう内容です」と自信たっぷりに発表できるだろう。

 だが、岸田首相で総選挙に勝利できるかは、予断を許さない状況だ。先日は、マスコミ各社の内閣支持率が思ったほど高くなかったことも話題になった。それもあって、「18歳以下に10万円」の公約は慌てて付け加えた印象が拭えないという。

「熟慮を重ねず、アドバルーン的にぶち上げた公約のようにも見えます。ネット上でこれほど反対意見が多いと、目玉公約を変更してもおかしくないでしょう。選挙前に別の公約を準備し、10万円の公約は全面に押し出さない。いわば『10万円給付は公約ではなかった』ことにするわけです。いずれにしても、現状で目玉公約が10万円の給付というのは寂しいですね」(同・伊藤氏)

デイリー新潮取材班

2021年10月12日掲載

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