「ヘパリン配合」スキンケア商品が続々と登場する事情 “処方せん悪用”問題が影響

ビジネス 企業・業界 2021年10月04日

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「ヘパリン配合」で「医薬品」

 9月8日、ライオン株式会社は、乾燥肌治療薬ブランド「フェルゼア」のプレミアムラインを発売した。今回のシリーズの特長は「ヘパリン類似物質」を配合した点で、美容目的の医薬部外品、そして治療のための第二類医薬品がラインナップされている。この「ヘパリン類似物質」が入ったスキンケア商品が、ブームの様相を呈しているというのだが……そのワケとは。

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 ライオンの「フェルゼアプレミアム」からは、“泡の化粧水”“クリーム”“バーム”の3商品が発売されている。このうち、第二類医薬品の認定を受けているのは“クリーム”と“バーム”だ。業界誌記者は「ついにライオンも参入したか、という印象です」と語る。

「昨年9月には、健栄製薬がKing & Princeの永瀬廉を広告に起用した『ヒルマイルド』を発売しました。やはりヘパリン類似物質が含まれた医薬品認定の商品です。同じ時期にコーセーと製薬会社のマルホの合弁会社は『カルテHD』シリーズも売り出しました。こちらは医薬品ではなく、スキンケアに使えるヘパリン類似物質配合の医薬部外品です。18年にはドラッグストア大手のマツモトキヨシがPBブランド『matsukiyo』から、『ヒルメナイド』シリーズを発売。こちらもヘパリン類似物質配合の医薬品。これまで累計115万本以上を売り上げています」

 体内にある物質「ヘパリン」と似た成分の「ヘパリン類似物質」は、保湿や血行促進などに高い効果があるとされる(便宜上、以降は「ヘパリン類似物質」を「ヘパリン」と表記)。乾燥肌やアトピー、火傷の治療にも使われ、以前からヘパリン配合の市販薬は販売されていた。にもかかわらず、今、これらの商品が業界で話題になっているのには訳がある。

「『医薬品』を謳う以上、薬事法の関係があり、各社とも“乾燥肌治療”としてこれらの商品を販売しています。が、実のところは美容効果をアピールしたいのが本音でしょう。発売された時期を見れば、“あの問題”を意識しているのは間違いないですから」

社会問題化した「ヒルドイド」

 記者のいう問題とは、「ヒルドイド」の美容目的処方が相次いだ件を指す。聞きなれないカタカナが頻発するが、これは件のヘパリンを主成分とした医療用医薬品である。医療用であるため医師の処方が必要な薬なのだが、2015年ごろから、美容雑誌や美容サイトで“ヒルドイドが美肌にいい”といった形で紹介されるようになった。しかも保険適用が効いて安く購入できることもあり、SNSなどでも話題に。美容目的のヒルドイド処方を求め皮膚科を訪れる者が相次いだのだ。

 いうまでもなく、美容目的での保険適用は法律で認められていない。17年には健康保険連合会が〈外来で保湿剤が処方された処方回の8割強において〉ヘパリンを含むヒルドイドなどが処方されており、しかも〈1年あたりの処方額換算では約73・5億円になる〉という報告書も発表。一時は処方の規制まで取り沙汰されるなど、社会問題化したのである。そして、社会問題化と入れ替わるようなタイミングで、各社はヘパリン配合の医薬品を売り出しているのだ。

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