巨人はドラフトで“くじ運”が悪すぎる…単独指名に切り替えるべきか?

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抽選は9回連続外れ

 独走だった昨年とは打って変わってヤクルト、阪神とのデッドヒートとなり、リーグ3連覇が厳しい状況となっている巨人。期待の新外国人2人がともにシーズン途中で退団となり、リーグ連覇を支えた丸佳浩とラッキーな形で加入した中田翔も不振と誤算の多いシーズンとなってしまった。まもなく、ドラフト会議が開かれるが、巨人はこの数年、思うような指名ができていない。過去5年間に1位で指名した選手と抽選結果を並べると、あまりに“くじ運”が悪いことがわかる。

2016年:×田中正義(創価大)→×佐々木千隼(桜美林大)→吉川尚輝(中京学院大)
2017年:×清宮幸太郎(早稲田実)→×村上宗隆(九州学院)→鍬原拓也(中央大)
2018年:×根尾昂(大阪桐蔭)→×辰己涼介(立命館大)→高橋優貴(八戸学院大)
2019年:×奥川恭伸(星稜)→×宮川哲(東芝)→堀田賢慎(青森山田)
2020年:×佐藤輝明(近畿大)→平内龍太(亜細亜大)

 外れ1位も含めて、抽選は9回連続で外れ、どの年もドラフト前の評価がそこまで高くなかった選手の指名に落ち着いている。吉川はレギュラークラスとなり、高橋は今年最多勝争いを演じるなど、成功している選手ももちろんいるが、鍬原と堀田は故障で育成選手となるなど、現時点では成功と言い難い結果となっている(鍬原は今年8月に支配下に復帰した)。2019年の堀田は、入団直後にトミー・ジョン手術を受けることになり、指名当時のスカウト部長が異動となる事態にも発展している。

ドラフト候補は圧倒的な“投高打低”

 これだけ“くじ運”がなければ、抽選は回避して単独指名に切り替えるべきではないかとの声も聞こえてくる。同じセ・リーグの広島は、森下暢仁、栗林良吏と2年続けて即戦力投手の単独指名に成功していることも、そのような意見の後押しになりそうだ。

 しかし、現在のチーム事情を考えると、そのような方針は決して得策ではないように見える。現在のチームに必要なのは、中途半端な即戦力よりも将来のチームを背負って立つような太い柱となる人材だからだ。

 投手では、エースとして先発陣を牽引してきた菅野智之の力に陰りが見えてきた。また、野手では坂本勇人と丸佳浩はベテランに差し掛かっており、丸は今年大きく成績を落としている。数年後を考えると、チームを背負って立つスケールを持った選手は必要不可欠と言える。そんな選手を獲得するならば、やはり、抽選から逃げるべきではないだろう。

 もうひとつ、巨人が単独指名を避けたほうがいい理由は、今年の候補選手の状況にある。今年のドラフト候補は、圧倒的な“投高打低”であり、1位指名の12人全員が投手ということも考えられる。中心になるのは、小園健太(市和歌山)、風間球打(明桜)、森木大智(高知)の高校生3人だが、それぞれタイプが異なり、1人が飛び抜けている状況ではない。

 また、大学生では、サウスポーの佐藤隼輔(筑波大)と隅田知一郎(西日本工大)、即戦力が期待できる社会人では、広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)と人気になりそうな投手も控えている。昨年の早川隆久(早稲田大→楽天)のように、1人に人気が集中することは考えづらい。

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