「ハコヅメ」高視聴率を支えた日テレの「with YouTube戦略」って何?

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 9月15日、「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日本テレビ)の最終回が、シーズン最高の視聴率12・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)で有終の美を飾った。交番勤務の女性警官を描いたコメディ&シリアスドラマは、主演の戸田恵梨香と永野芽郁のコンビも良かった。元婦人警官が描いた原作漫画のリアルさもあった。高視聴率には様々な要因はあるものの、永野のコロナ感染で2週間の撮影休止があったのは大きなダメージだった。それでも視聴者をつなぎ止めたのは、日テレの動画戦略が功を奏したからだという。

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「ハコヅメ」が視聴率1タケ(8・9%)を記録したのはただ一度、7月28日放送の第4話だった。永野の新型コロナ感染が判明したため、それ以後の撮影が2週間中断することも発表された。日テレ関係者が言う。

「視聴率が落ちたところで放送が中断となれば、放送が再開したころには忘れ去られて、それ以降の数字は望めなくなります。しかし日テレは、ほとんど再放送ではあるものの、“特別編”を2週連続で放送するという苦肉の策を採りました」

 その結果、8月18日に再開した第5話がどうなったかといえば、視聴率は12・5%とそれまで最高となったのだ。

「当初からストーリーやキャスト、ドラマの作り方の評価は高かったので、オリンピック期間中でもあったので、“特別編”で見直してくれた視聴者も少なくないと思います。でも、大きく貢献したのは間違いなくYouTubeでしょう」

 テレビ局にとって、YouTubeは敵ではなかったのだろうか。

YouTubeで地上波に誘導

「動画サイトのYouTubeとは、視聴者の可処分時間を奪い合うという意味では、ライバル関係にありました。日テレが求めるコアターゲット層(13~49歳)の中でも特に若者は、起床後にまずYouTubeを視聴し、登校・出社時にも視聴、昼休みにも見て、夕食時、就寝前にも見るというケースが多い。コロナ禍の今は、さらにYouTubeの視聴時間は増えています。日テレはこうしたライフサイクルを研究した結果、YouTubeをライバルではなく、最良のPRの場所として考え直したのです」

 1月22日、YouTube内に開設したのが「日テレドラマ公式チャンネル」だ。

「YouTubeをこよなく愛する若者を中心に、ドラマの関連動画を一気見できるようにしたのです」

 ドラマの予告編などは、日テレに限らず、どの局でも配信しているようだが、

「確かにこれまでは、地上波でも流れる15秒とか30秒のPRスポットや予告編を、そのままYouTubeで配信していました。しかし、その程度ではドラマの面白さは伝わりません。そのため、ドラマ本編から5分前後をYouTubeで配信することにしたのです。特にYouTubeでは、“切り出し”と呼ばれる動画が若者の間で流行にもなっていますから。『ハコヅメ』では“本編ノーカット版”として、ドラマ本編の面白い部分を切り取り“ノーカット”で見せることで、地上波に誘導するという戦略を採ったのです」

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