高校野球の名将が次々勇退…次世代の名監督は智弁和歌山・中谷監督か、それとも

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重視しているのはチーム内の競争

 小針監督と同学年の監督では、仙台育英の須江航監督(38)が近年、頭角を現してきた。八戸大卒業後は、仙台育英学園秀光中で指導。18年1月に仙台育英の監督に就任すると、19年夏と今年の春に甲子園でベスト8に進出している。

 今年は地方大会で敗れて、夏の甲子園出場を逃してしまったが、それまでは県内の公式戦で44連勝という圧倒的な結果を残していた。仙台育英は全国から多くの選手が集まり、部員数も非常に多いが、その中で須江監督が重視しているのがチーム内の競争だ。

 オフの期間には積極的に部内で実戦を行い、その結果をもとにして公式戦のメンバーを選考。結果を残せば、下級生でも当然起用される。実際、夏の宮城大会では、2人の1年生がベンチ入りしていた。

 今年の3年生には、伊藤樹というプロ注目の投手がいたものの、エースに頼らずに、複数の投手の継投で戦っている。これも須江監督のスタイルだ。選手にとっては、非常に納得感があるうえ、特定の投手が消耗することも防ぐことができるため、現代の高校野球によくマッチしたやり方と言えそうだ。

 監督には経験も当然必要だが、変化が早い時代を考えると、新しいことを取り入れる柔軟性も欠くことができない能力のひとつ。新世代の名将候補が高校球界を盛り上げていくことを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月8日掲載

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