大人気のジェネリック家電 テレビを買う場合に気を付けるべき2つのポイント

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ソニーにくらべ半額

 ここからはテレビに絞って考えてみたい。コロナ禍により外出機会が激減し、テレビ番組を見て過ごす人が増えたため、その売り上げは伸びている。東京五輪を機に買い換えた人も多い。

 2020年の薄型テレビの売り上げは計約542.6万台。コロナ前の2019年と比べ、111.5%の大幅増だった(電子情報技術産業協会調べ)。

 大手がつくったテレビとジェネリック家電のものは画質が違うのだろうか。

「フルハイビジョンで比較すると、ほとんど変わらないと言っていい」(前出・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏)

 となると、ジェネリック家電にはお得感がある。ソニーの32V型液晶テレビ ブラビア フルハイビジョン 外付けHDD裏番組録画対応の実勢価格は5万2000円なのに対し、ジョワイユの40型液晶テレビ フルハイビジョン 裏番組録画対応ダブルチューナーは実勢価格2万5000円。半値だ。

 格安テレビを数々売り出しているジョワイユは東京・広尾に本社がある。設立が2014年の新しい会社だ。こんな歴史の浅い会社で最新技術の粋を集めたテレビがつくれるのか。

「今の時代、映像処理エンジンや液晶パネルなどのパーツを買い、組み立てたら、どこだってテレビメーカーになれるんです」(同・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏)

 ジェネリック家電の組み立ては大半が中国などの海外工場で行われている。一方、設計や開発は大手と関係する国内企業によって行われることが多い。だから大手と変わらぬ画質のテレビがつくれるのだ。

 ジョワイユはドライブレコーダー、デジタルカメラ、ロボット型掃除機なども販売しているが、主力はテレビ。現在、実に38タイプも発売している。

 とにかく安い。同社の43V型4K液晶テレビの裏番組録画可能タイプは実勢価格3万3000円。大手の同タイプの製品なら6万円弱から10万円弱はする代物だ。24V型デジタルハイビジョン液晶テレビにいたっては同1万3000円。パソコンのモニター並みの価格である。

 ほかにハイセンス、LG、アイリスオーヤマ、MAXZEN、東京Decoなどがテレビを販売している。いずれも低価格だ。

 ただしジェネリック家電のテレビを購入する時には注意しなくてはならない点がある。中にはリモコンと操作画面がチープな製品があるのだ。

「画質は大手メーカー並みになったとはいえ、大手にはリモコンなどの操作系統や操作画面をつくるノウハウが古くからあり、それをブラッシュアップしている。一方、新規参入組にはそういったノウハウがないんです」(同・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏)

 だから、出来ればジェネリック家電のテレビは量販店などの店頭で実物を直に確認して買いたい。リモコンや操作画面は通信販売では分からないからだ。

「ジェネリック家電のテレビは色の初期調整が気にくわない」との声もよく聞く。これも店頭で店員に調整してもらうと問題は解決する。

 サポート面の不安を指摘する声もあるが、ジェネリック家電だからといって一概に心配する必要はないようだ。

「例えば大手よりハイセンスのサポートセンターの数が少ないかというと、そんなことはありません」(同・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏)

 ただし、サポート体制は大手もジェネリック家電もメーカーによってかなり差がある。購入前に調べておいたほうがいい。ホームページで確認し、疑問が残ったらサポートセンターに電話しよう。

 ちなみにハイセンスの保証期間は3年。ジョワイユは1年、MAXZENはユニークで1000日。大手のソニー、パナソニックなどは1年。大半の製品は別料金を支払うことで5年などの長期保証が付けられる。

 ジェネリック家電の修理は具体的にどう行われるかというと、MAXZENの場合、テクニカルセンターにテレビを送る。送料はかからない。センターで修理が行われ、終わり次第、返送される。

「次のテレビはジェネリック家電で」と思う人もいるだろう。そんな人のために付け加えると、テレビの使用期間は平均10年(2021年内閣府資料)。買い換えの理由は故障が圧倒的に多く61.9%。大画面のものなどに買い換えるケースが28.1%を占める。

 ジェネリック家電は電子レンジやテレビばかりではない。例えば洗濯機はアイリスオーヤマのドラム式洗濯機・乾燥機能付き8キロ温水洗浄機能・乾燥3キロが実勢価格12万5000円。大手のものより数万円から10万円以上も安い。ほか、大抵の家電がある。

 ジェネリック家電メーカー2社の社員と話したところ、ともに「自分たちからジェネリックと言わないようにしています」と口にした。価格は抑えたまま、品質では大手と競おうとしている。

 家電量販店店員によると「メーカー名を気にしないお客様は年々増えている」という。ジェネリック家電の躍進は続きそうだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月6日掲載

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