大谷翔平が「サイ・ヤング賞」を受賞する可能性は 追い風となる情報も

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 42本塁打に90打点(8月31日現在)。エンゼルスの大谷翔平(27)は今、本塁打王争いでは2位に4本もの差をつけて独走中で、おのずと打棒にばかり目が行ってしまうわけだが、実は投手成績の方も凄いことになっている。

 目下のところ7連勝中。オールスター後に登板した5試合に限ると、4勝を挙げリーグ2位タイ、防御率も1・36で実質1位なのだ。

 現地では、最も活躍した投手に贈られる「サイ・ヤング賞(以下CY賞)」の可能性についても取り沙汰され始めた。エンゼルスのマドン監督も、「(大谷はCY賞の)絶対的な候補だ」と明言している。

 もっとも、大谷の開幕からの通算成績は8勝1敗で防御率2・79(8月24日現在。同様に、以下の成績はすべて8月24日時点のもの)。ア・リーグのハーラーダービーを見ると、トップの12勝に3人が並ぶ。防御率の方は1位のリン(ホワイトソックス)が2・20を誇り、二刀流で登板間隔を空けている大谷は規定投球回数も全く足りていない。また、メジャーでは“選手の通信簿”というべき「WAR」という指標が重視されるが、投手・大谷のそれはリーグ4位に甘んじている。

 これらの数字を冷静に見る限り、大谷のCY賞受賞はさすがに無理があると言わざるを得まい。

「3人選ばれる“最終候補”には入るかもしれませんが、現状ではそれも20~30%くらいの確率でしょう」

 とメジャー研究家の友成那智氏も同じご意見。ただ、

「今季のア・リーグは傑出して活躍している投手が皆無で、稀に見る低レベルな争いになっているんです。例年よりはるかに獲りやすく、大谷もこのまま好投を続ければチャンスが回ってきそうですよ」

勝ち星は考慮せず

 CY賞といえば、日本の沢村賞のようなものと思っている方が多いだろう。たしかにいずれも“最も活躍した投手に贈られる”のだが、沢村賞は球界OB5人の話し合いで決めるのに対し、CY賞は記者30名の投票による。また、沢村賞には、必ずしも全てを満たす必要はないものの、勝利数や防御率など一定の基準が設けられているが、CY賞にはそれがない。そして決定的な違いは、沢村賞が“先発完投型”にこだわるのに対して、CY賞はその限りではないということだ。

 したがって、

「チームの強弱に影響される勝ち星は全く考慮されず、10勝9敗で受賞したケースもあります。また、投球回数が少ないリリーフ投手も受賞しています。ですから、大谷の成績でも受賞は可能です。投球回数が少ないことが唯一のマイナスポイントですが、分業が進んだ近年は投球回数が重視されない傾向にあり、これも彼には追い風といえます」

 話を“低レベルな争い”に戻そう。CY賞で最も重視されるのは前述したWARとのことだが、

「現在WAR1位のレイ(ブルージェイズ)は昨季までの実績に乏しく、好調がいつまで続くか疑わしい。本命はWAR2位で奪三振数1位のコール(ヤンキース)といえそうですが、彼はWARに次いで重視される防御率が2・92と大谷より劣っています」

 そして、

「先日、ハーラートップの一人、バシット(アスレチックス)が顔面に打球を受けて骨折し、レースから脱落。なんだかおかしな現象が相次いでいるんです」

 過去に幾人もの日本人投手が活躍したが、CY賞受賞には至っていない。

 ひょっとしたらひょっとする?

週刊新潮 2021年9月2日号掲載

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