コロナ禍の甲子園で見つけた“ダイヤの原石”8人 ドラフトの目玉になるか

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

一人だけ異次元のスピード

 続いて、野手の注目株を見ていこう。こちらは一芸に秀でた選手に注目したい。大阪桐蔭のレフト、野間翔一郎は、圧倒的な脚力で、甲子園に集結したスカウト陣を魅了した。1回戦の東海大菅生戦。ゴロが止まるほどの雨中でのプレーとなったが、それでも一塁到達タイムは4.00秒を切り、田んぼのようにぬかるんだグラウンドで一人だけ異次元のスピードを見せた。肩の強さもあるだけに、スピードを維持したままパワーがつけば、三拍子揃った外野手として、数年後のドラフト戦線に浮上してきそうだ。

 智弁学園のセンター、森田空は、抜群の強肩が光っていた。シートノックでは、サード、ショートに低い軌道でノーバウンド送球を披露。打球の落下点に入るのが早く、守備力の高さは、夏の甲子園に出場した選手のなかでトップクラスだった。

 打撃で光ったのが高川学園の4番、立石正広。1回戦の小松大谷戦では、右打者でありながら、センターのすぐ右のスタンドに放り込む一発を放った。その打球の伸びは素晴らしかった。リストの強さは抜群で、サードのスローイングの強さも光る。高校卒業後は大学へ進学すると言われており、貴重な右の強打者タイプとして、今後もプロの注目を集める存在となりそうだ。

 コロナ禍で開かれた夏の甲子園に出場した“ダイヤの原石”が、数年後のドラフト会議で騒がれる逸材に化けることを期待しつつ、引き続き、彼らを取材していきたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年8月30日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。