ワクチン抜け駆け接種に「私は医療従事者」の言い訳で顔を売った町長 新たな揉め事が浮上

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不信任決議は反対6に賛成8だったが

 首相官邸や厚生労働省によると、新型コロナワクチンについて総人口の42.6%、5410万人が2回接種を完了したという。ようやくここまで来たか、いやいやまだまだ……さまざまな声が交錯するが、今年5月、医療従事者用のワクチンを高齢者よりも先に接種して世間の耳目を集めた町長がいたのをご記憶だろうか。その町長に新たな揉め事が浮上しているという。

 まずは、テレビニュースや週刊誌でも大きく取り上げられ、一躍、全国的に顔を売ることになった一件を振り返っておこう。

 今年5月、医療従事者のキャンセルが出たことを受け、茨城県の上遠野修(かとうの・おさむ/42)・城里町長は、副町長ら複数の町幹部と共にワクチンを接種していたことが発覚。“自分は医療従事者に準ずる立場”などと言い訳(後に撤回)を展開し、結果、町議会で不信任決議案まで提出されるにいたった。

 不信任決議案の採決では反対6人に対して、賛成が8人と上回ったものの、地方自治法で定めた4分の3には届かず否決されたが、その後も放言は収まらなかったという。

 同町議会関係者によると、

「町長は不信任決議案が出された後も全く悪びれる様子なく“首長が実際に感染すれば、行政に大きな影響が出るわけだから、危機管理上、打っておくという判断は正しかった”“実際に毎日、ワクチンの接種会場で指揮を執っているので医療従事者にあたる”と改めて『ワクチン抜け駆け接種』の正当性を主張しました」

オフレコ発言がそのまま報道され

 加えて、

「不信任決議案についても“議会側のパフォーマンスというか、一応やっておきましたということ”“辞めさせる気も、議会を解散する気も無くて、ちゃんと(否決になることを)票読みして議案を出したんだと思いますけど”と一蹴していました」

 悪いことに、その後、この発言も新聞でそっくりそのまま報道されることになり、火に油を注ぐ結果となった。実は町長の医療従事者という言い訳そのものは苦しいとはいえ、感染対策の最前線にいる立場であり、“ワクチンの廃棄を避けるため”という弁明と合わせ、町長の判断を支持する声がないわけではなかった。
 
 ところが、このたび、そんな上遠野町長の周辺で新たな“揉め事”が浮上しているという。問題になっているのは城里町内にある「ホロルの湯」という健康増進施設だ。

 町のある関係者が解説する。

「ホロルの湯は、プールやジャグジー、フィットネススタジオなどを備える温浴施設。町はここで高齢者向けの介護予防事業として、お年寄りに体操やスイミングの指導をしているんです。実際に運営しているのは町が業務委託をした開発公社です」

 今回、問題になっているのは、この開発公社に業務委託するにあたって町から支払われている委託料だという。

「委託料は2019年4月から20年3月までの1年間で約320万円。人口1万8000人の城里町では高額な事業で、地方自治法の定めにより監査も義務付けられている。ところが、町の監査委員が監査資料の提出を求めても、開発公社側が審査に必要な関係資料や帳票を提出してこないのです」(同)

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