ワクチン抜け駆け接種に「私は医療従事者」の言い訳で顔を売った町長 新たな揉め事が浮上

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デタラメな事業報告書

 監査に応じようとしない開発公社。実は、この開発公社のトップである理事長こそ、城里町長の上遠野氏なのである。ちなみに、上遠野氏が町長に就任して以降、監査で問題が発生したのはこれが初めてではないという。

 昨年も別の事業を巡って、町が監査の要請に応じようとせず、2名の監査委員のうち1人が任期途中で辞職するという異例の事態も発生した。まるで“監査”を避けているかのようにもみえるのだが……。この関係者はその理由をこう推測する。

「開発公社の事業報告書に目を通すと、そのデタラメぶりに呆れてしまうほどです。なにせ、お年寄り向けの介護予防事業がなぜかホロルの湯の休館日に行われていたり、事業の合計参加人数が急に300人ほど増えたりと不明朗なことこの上ない。そもそも日付からして間違っていて、期間が2019(平成31)年4月1日からのはずが、記載されているのは2018(平成30)年4月1日~2019(平成31)年3月31日の日付。詳細な監査をすればさらなる綻びが次から次へと出てくるのは明らかで、監査拒否もある意味納得できる。上遠野氏は、監査委員が直接掛け合っても参加者のプライバシーを理由に必要な資料を出させず、町の決算審査も不十分な資料で乗り切るしかないのが現状です。事業は国の補助金で実施されていますから、会計検査院に指摘されたら、どうする気なんでしょうか」

とにかく人の話を聞こうとしないエリート

 これに対して開発公社の担当者は次のように反論する。

「求められた資料を全て提出していないのは、介護予防事業の資料には利用者の既往症などが書かれた申込書も含まれているからです。そもそも参加者の名簿は事業の発注元である町に提出していますし、病歴などが記された申込書までは町の監査に必要ないと判断して提出していないのです。提出した資料の誤りについては、言い訳になってしまいますが、実績報告書を作成した今年の3月、4月がコロナ禍の影響で休業になってしまい、事務スタッフと十分な連絡が取り合えなかったのが原因です。ただ、金額などに誤りはなく、参加人数など軽度な間違いだと思います」

 何かといさかいの絶えない町長だが、もともと出世街道まっしぐらのエリート人生を送ってきた人物なのだという。

「彼は、地元の水戸第一高校の出身で、東京大学経済学部を卒業後、大林組や国会議員秘書を経て、楽天の関連会社に勤務。ちなみに、水戸一高から東大といえば、茨城県の大井川和彦知事や、公明党の山口那津男代表ら地元のエリートコースです。城里町長に初当選したのは2014年9月。2度目の挑戦でしたが、36歳での当選は当時、全国の市町村長で最年少でした。当選直後は周囲の期待も高かったですが、とにかく人の話を聞こうという姿勢がない。徐々に人が離れ、ますますワンマンぶりに手がつけられなくなっているのです」

 上遠野氏は初当選後、町広報で「多くの方から公平・的確な行政執行を望むという声を拝聴し、町政の基本を『住民の声を反映したまちづくり』としたい」と挨拶している。この言葉が空転しないよう願うばかりだ。

デイリー新潮取材班

2021年8月30日掲載

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