韓国学生の神風特攻隊ミュージカルに弾圧 「教育費支援の中断を」「ここは北朝鮮なのか?」の声

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「親日活動をするのか」と抗議

 韓国・中央大学伝統芸術学部に所属する学生劇団が、神風特攻隊を題材としたミュージカル「少年飛行兵」の制作を発表。YouTubeでも予告編動画を配信したところ、これを見た韓国民から「神風特攻隊を美化している」「親日活動をするのか」と抗議の声が相次いで寄せられ、動画は削除。長文の謝罪文を公表する事態となり、一部韓国メディアも伝えている。羽田真代氏によるレポート。

 劇団側はこのミュージカルについて「第2次世界大戦で数千名の操縦士が犠牲となった日本の自殺特攻作戦を盛り込んだ。神風特攻隊で散華した幼い少年たちの話を描いた創作ミュージカル」だと説明し、来年1月の公開を目標に準備を進めていることをツイッターで発表していた。

 抗議を受け、学生劇団が公表した謝罪文には「敏感で痛ましい歴史を題材にしただけに事態を重く受け止めている。広報映像(予告編)で我々の軽率な姿をお見せするべきでなかった。深く反省している」と書かれており、「決して軽い気持ちで撮影したものではない」とも弁明している。

 劇団側が謝罪文を掲載した後にもツイッターには「神風の内容がそんなに面白いのか?光復(=主権回復から)100年も経っていないのに…神風のせいで何千人、何万人もの命が犠牲になったか分からないというのに」「趣旨から言い訳まで、日本の右翼らと同じだ」「中央大学の学生らは植民史観によく染まっている。日本の右翼が主張する歴史歪曲に一役買っているんだから、彼らはさぞかし喜んでいることだろう」などといった劇団を批判するコメントばかりが寄せられていた。

「なぜ表現の自由が保障されないんだ」

 今回の劇団の件は一大学の案件ではあるが、一部韓国メディアにも取り上げられている。こちらではツイッターとは異なり賛否両論、意見が真っ二つに分かれている状況だ。例えば、こんな具合である。

「このような演劇を行う大学には、教育費支援を中断しなければならない」といった批判の声から、「芸術にあれこれと物差しを当てて自己検閲するようになれば、中国化していく。どのような題材であっても自由に表現ができるのが前提だ」「公演は諦めずにやればいい。謝る必要もない。むしろ弾圧を受けたことに対する告訴をし、賠償を受けるべきだ」「ここは北朝鮮なのか? 自由民主主義国家である韓国になぜ表現の自由が補償されないんだ」と、学生を擁護する声も多く見受けられた。

 ところで、問題となった予告動画は既に削除されているため、現在確認することはできない。この劇団は過去に公演を行ったこともなく、今回のこの「少年飛行兵」が処女作品だから当然なのかもしれないが、取材を通じてわかったのは、その予告編には“あなたは神風特攻隊を知っているか”とタイトルがつけられており、学生らのNG場面ばかりを集めたものだったということだ。

 学生らは「日本空軍に志願した理由はなんだ」「お前は明日自殺する」「お前は国のために命を捧げることができるか」など、質問を投げかける形式でセリフをやり取りしながら、コミカルな動作を交え、さらに終始笑顔で演じていたという。特攻隊員には日本統治下の朝鮮半島出身者もいたから、学生らの態度は彼ら「朝鮮人カミカゼ」を侮辱することにもなりかねない。

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