迷走するデジタル庁…今度はオリパラアプリを仕切っていた慶大教授の不適切行為が発覚

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 菅義偉首相就任時の「目玉政策」として打ち出された「デジタル庁」が、9月1日に発足する。しかし、デジタル庁の母体になっている内閣府の情報通信技術(IT)総合戦略室(通称IT室)のシステム発注の問題点を明らかにした第三者委員会の報告書が公表され、デジタル庁の行方に暗雲が漂っている。

極めて頻繁に高額な飲食の接待

「よりによってデジタル庁の発足直前の8月20日、驚くような内容の報告書が公表されました」と語るのは、デジタル庁新設を取材する大手新聞社のデスクだ。

「6月に平井卓也デジタル担当相が、政府が発注したオリンピック・パラリンピックでの入国者用アプリ(通称オリパラアプリ)に関して、NECを恫喝するかのような会議の音声が朝日新聞や文春オンラインで公開されました。加えて、平井大臣がオリパラアプリの業者選定に介入していたことやNTTとの会食など、次々と疑惑が報じられた。平井大臣はこれに“反撃”するため、オリパラアプリの発注を検証する調査を命じ、第三者の4名の弁護士が平井大臣はじめIT室責任者や職員、民間事業者などにヒアリングを行い、関係資料に当たって調査を進めてきました」

 オリパラアプリのシステムに対する報告書は、違法性こそなかったものの、《調達手続きの公平性に対して国民の不信を招くおそれのある不適切なもの》と認めた。その開発・運用全体の管理者となっていたのが、IT室のナンバー2で「副政府CIO」の肩書を持つ神成(しんじょう)淳司・慶應義塾大学環境情報学部教授である。

「オリパラアプリの受注業者を選定するプロジェクトチームは神成さんがヘッドでしたが、もともとNECなどシステム会社と近く、受注に便宜を図っていたのではないかと囁かれていました。アプリには入力される外国人観光客のデータと各省庁が取り扱うデータとをやり取りするAPI(Application Programming Interface)と呼ばれるシステムが必要で、WAGRIという農水省の農業データ連携基盤システムを使っています。しかし、このWAGRIは、なんと神成氏自身が開発責任者として基本構想・設計に関与していたのです。

 今回の報告書の結論は、WAGRIの利用を前提に発注していたわけではないとして、『シロ』判定を下しています。しかし一方で、WAGRIの共同開発者であるネクストスケープの社長が、発注する前からIT室の神成さんのチームに加わっていたことや、WAGRIが使われると実施料の一定割合の配分を受ける権利を神成さんが持っていること、システムの調達の時期に隔たりがあるとしながらも、同社の社長から神成さんが《極めて頻繁に高額な飲食の接待を受けていた事実が認められる》ことなどが明記されています」(同)

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