感染拡大の原因でも若者に人気のウレタンマスク 「ケイト」のマスクはSNSでバズって即完売

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 東京都など6都府県に加えて、今月20日からは緊急事態宣言対象地域が13都府県に拡大された。宣言下でも収束が見えない第五波の特徴として、若者の感染者数が多いことが挙げられる。最近の東京都の感染者においては、30代以下が7割にも上った。若者の感染拡大には、様々な理由があるだろうが、その1つに若者に人気のマスクを挙げる専門家もいる。

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「ウレタンマスクを着用する人が多いということが、若者に感染者が多い一つの理由になっている可能性が高いです」

 そう語るのは、国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一氏である。

「昨年12月、理化学研究所のスーパーコンピューター『富岳』によるマスクの素材ごとに飛沫防止効果の違いを比較したシミュレーションが発表されました。それによって、ウレタンマスクは、不織布マスクに比べて飛沫防止効果が極めて低いことが分かりました。そこで我々は、実際に実験するとどのような結果になるのかを知るために、市販されている様々な素材のマスクを使い、感染させられるかもしれない吸い込み率に絞って計測しました」(同)

ウレタンマスクはほとんど効果が無い

 西村氏の実験でも、ウレタンマスクの素材であるポリウレタンは、粒子の除去性能が極めて低いという結果が得られた。「富岳」のシミュレーションよりも、不織布との差は明らかに大きいことが判明したのだ。

「不織布マスクは、5㎛(マイクロメートル)以下の粒子で除去率は99.1%です。一方、ポリウレタンは除去率が1%以下。つまり、ウレタンマスクはほとんど効果が無いのです。しかし、ウレタンマスクの感染防止効果が不十分であることが明らかになってからも、街中ではウレタンマスクを着用している人が珍しくありません。特に若い世代では、男女問わずウレタンマスクを着けている人が多いという印象があります」(同)

 感染者数は最多を更新し続けている現在でも、その状況は変わらない。そうした中、今月18日には、西村氏も賛同者の1人として「最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明」という提言を内閣官房などに出した。

「第五波の感染拡大のさなかにあって、政府や一部の医学関係者からは、『もう打つ手がない』と、言わば新型コロナに白旗を上げたかのような対応が見られます。しかし決してそんなことは無く、今だからこそ最新の知見に基づいた対策を取る必要があると思うのです。その1つがマスクの性能について基準を示し、ポリウレタンなど性能が低いマスクについての注意を政府が正式に呼びかけることだと考えています。感染拡大時のドイツでは、公共の場や交通機関等では、一定以上の性能を持つマスクの着用が義務付けられ、ウレタンマスクなどの着用は罰則付きで禁止されています。日本では、マスクの性能について正しい呼びかけがなされておらず、それが特に若い世代での感染拡大の一因になっている可能性が高いです」(同)

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