「フジロック」で記者は見た 東京ナンバーの車が大挙、“酒ナシ”でも“密”に踊る若者たち

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 新型コロナの新規感染者数が各地で過去最多を更新する中、新潟県湯沢町では8月20〜22日の3日間、音楽フェス「フジロックフェスティバル」(通称「フジロック」)が開催されている。主催者は、入場制限を設けたうえ、感染対策を徹底すると訴えるが、記者が目にしたのは、ステージ前で“密”になって羽目を外し、踊り狂う若者たちの姿だった。

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「品川」「練馬」「足立」ナンバー

 24年間にわたって、毎夏、開催されてきた日本最大級の音楽フェス「フジロック」。昨年はコロナ禍で中止に追い込まれたが、今年は開催に踏み切った。

「KEEP ON FUJI ROCKIN’」

 主催者がホームページで訴える標語である。

〈雨、風、嵐、そして台風。フジロックは今までも自然の脅威にさらされてきました。そして、フジロックはいつも、フジロッカーの皆さまと共に困難を乗り越えてきました。/今度は、新型コロナウイルス感染症です。でもこれは、自然の脅威とはまた別の、私たちの知恵と工夫、そしてモラルとマナーで予防することができる脅威ではないでしょうか〉

 だが、開催日が近づくにつれて、辞退する出演者が相次いだ。津田大介や小泉今日子をはじめ、大友良英、折坂悠太などが出演を辞退。また、メンバーに陽性者がいたことから、「indigo la End」(川谷絵音のバンド)も出演キャンセルとなった。

 記者は取材を目的として、8月上旬にチケットをネットで購入した。値段は1日券2万1000円。チケット購入者には専用アプリへの個人情報や当日の体温の登録が義務付けられ、希望者には「抗原検査キット」が送られてくる。キットは前日に届き、当日の20日、陰性と平熱を確認したうえで会場入りした。

 会場近くの駐車場に赴くと、目についたのは夥しい数の県外のナンバーだった。中でも「品川」「練馬」「足立」など東京ナンバーが目立つ。ついで「湘南」「川越」などの関東圏ナンバー。「岐阜」「神戸」など、遠方からの車も見受けられた。

 駐車場から会場までのシャトルバスに乗る際は、検温を受ける。バスの中は、Tシャツ、短パン姿の大学生らしき若者たちでいっぱいだった。

ダフ屋は「今年は若者が多い」

「おにいちゃん、どうしたの? 券ないの?」

 エントランス前で、まず記者を出迎えたのが「ダフ屋」だった。いかにもという出で立ちの場違いな50代くらいの男性。他にも数人の仲間が、スタッフの目も気にせず堂々と、客に声をかけている。

「今年は外国人出演者がいないから若者が多いねぇ。海外の人気グループが出演する時は高騰するけど、今年は安いよ。定価で売るよ」

 エントランスに入ると改めて検温だ。アプリの確認、荷物検査も受ける。今年は会場内でも酒類の販売はなく、持ち込みも禁止。だが、スタッフの確認は極めて雑だった。さっとカバンを開けさせられるだけで、奥までは見ない。衣類の奥に缶や瓶を忍ばせることは容易だと感じた。

 ようやくエントランスを抜けると、まず目に入ったのは、公式グッズ販売所前の長蛇の列だった。200人くらいはいただろうか。気になったのは、ソーシャルディスタンスが一切ないことだ。間隔をあけるよう注意するスタッフもいない。

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