「TOKYO MER」も絶好調 ドラマの老舗・TBS「日曜劇場」でヒット作が続く理由

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 TBS「日曜劇場」(日曜午後9時)のドラマはなぜ続けて当たるのだろう? 現在放送中の「TOKYO MER~走る緊急救命室」が好調なのはご存じの通り。1月期の「天国と地獄」、4月期の「ドラゴン桜」もヒットした。「日曜劇場」が強い理由をTBSドラマ関係者に聞いた。

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「日曜劇場」はTBSドラマ制作部内では「絶対に外せない枠」と考えられているそうだ。

「TBSにはほかにも火曜午後10時台と金曜10時台にドラマ枠がありますが、『日曜劇場』は1956年に生まれたテレビ界最古のドラマ枠。『ドラマのTBS』の背骨なんです」(TBSドラマ関係者)

 もっとも、当てたいのは他局も同じ。TBSだって残り2つの枠も当てたいはず。どうして「日曜劇場」だけ当てられるのか。

「まず放送枠に力があるから、視聴者を集めやすい。脚本家と役者も力のある人に参加してもらいやすいんです。視聴率の獲れる人はどこだって使いたいので、大抵の脚本家と役者は同時期に複数の局から声が掛かりますが、その時に『日曜劇場』を選んでくれる。また高視聴率が見込めて、DVD販売などの2次利用料も期待できるので、制作費もかけやすい。時には通常の1.5倍から2倍出せる」(同・TBSドラマ関係者)

 2倍とは驚きである。もともとTBSの制作費は他局より高めで、1時間ドラマなら推定4000万円前後。その2倍となると、同8000万円にもなる。

 半面、制作費が高額なのは不思議ではない面もある。堺雅人(47)、香川照之(55)、市川猿之助(45)、北大路欣也(78)ら豪華キャストが勢揃いした昨年7月期の「半沢直樹」は通常の制作費では到底つくれないからである。

 昨年1月期から今年4月期までの「日曜劇場」の全話平均世帯視聴率を見てみたい(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)

■昨年1月期「テセウスの船」13.4%
■同4月期 コロナ禍のため、なし
■同7月期「半沢直樹」24.7%
■同10月期「危険なビーナス」11.6%
■今年1月期「天国と地獄」14.5%
■同4月期「ドラゴン桜」15.0%

 どのドラマの数字も2ケタ以上。ちなみに個人視聴率全体は世帯視聴率の6割前後になる。

 視聴率が良いから優良スポンサーが付いている。洗剤や化粧品などの花王、酒や清涼飲料水などのサントリー、日本生命、SUBARUの大手4社である。

「ありがたいスポンサーです」(同・TBSドラマ関係者)

 ドラマに口を出すことがなく、黙って応援してくれるからなのそうだ。また、いずれのスポンサーもこのところ話題のコアターゲット(TBSの場合、男女4歳~49歳)に強く拘らない。

 各社の顧客ターゲットを考えると、それもうなずける。例えば花王が50歳以上の消費者を無視するはずがない。すると、制作者は視聴者の年齢に縛られず、自由にドラマづくりができる。コアターゲットに受けることだけを考えるドラマ制作者は一人としていないと言っても過言ではない。

「スポンサーが良いから出てくれる役者もいるんです」(同・TBSドラマ関係者)

 逆に世間のイメージが悪い企業がスポンサーのドラマには出ない役者も珍しくない。スポンサーも「日曜劇場」の強さの理由だった。

 昨年7月の「半沢直樹」の放送開始直前には、スポンサー4社がTBSと協力する形で、東京・渋谷駅構内にドラマをPRする超特大ポスターを貼った。

 ポスターには「日曜劇場提供者は半沢直樹を応援しています」の文言があった。こんなことは民放史上初めてのことだった。「ありがたい」という言葉もうなずける。

 ただし、強い「日曜劇場」にも過去には全話平均世帯視聴率が1ケタで終わったドラマがいくつかあるある。そういう時はどうやって浮上を図ったのか。

「軌道修正するんです。例えば1990年代はサラリーマンものが多かったんですが、それが低調になると、一転して木村拓哉さんと常盤貴子さんに主演をお願いし、ラブストーリーをつくり、流れを変えました」(同・TBSドラマ関係者)

 全話平均世帯視聴率が32.3%に達した2000年1月期の「ビューティフルライフ」である。以後、枠は勢いを取り戻した。

 キムタクの「日曜劇場」第1作だった。以来、同作を含めキムタクは6本の「日曜劇場」に登場。常連に近い存在になった。

 昨年1月期の「テセウスの船」から今年4月期の「ドラゴン桜」までを振り返ってみると、その共通点はストーリーの面白さとキャストの良さである。脚本家と役者の協力が得やすい表れにほかならない。

 また1話完結方式のドラマは1本もない。次回も見たくなる構成に仕上げられている。例えば「危険なビーナス」の場合、嫌らしいぐらいに毎回、終盤にヤマ場が用意されていた。

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