「小田急刺傷事件」容疑者が勤務していたパン工場は“地獄のバイト先”で有名だった

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酒のツマミが欲しくなり……

 40代の記者もこう振り返る。

「いまはもうなくなってしまったようですが、僕らが学生の頃は下落合に『ガクト』(学徒援護会)という日払いバイトを紹介してくれる施設があった。カネがなくなると、朝10時にそこに駆けつけ、壁一面に貼ってあるバイト先を早い者順で奪い合ったものです。そこで、いつも最後まで残っていたのが『○○パン』でした。背に腹を変えられず、暗い気持ちで張り紙を取り、働きに出たのを思い返します」

 今年に入ってからは派遣の仕事も辞め、生活保護を受給していたという対馬容疑者。彼が住んでいた小田急線・読売ランド前駅から徒歩10分の距離にある木造アパートは、築40年近い6畳間の1Kで、家賃は約2万5000円だった。

「事件当日、彼はどこかの店で、まずビールと酎ハイを万引きした。その後、酒のつまみが欲しくなって新宿区内の食料品店でさらにベーコンとオリーブを万引きしようとしたが、女性店員にバレて110番通報されています。人生で初めて万引きがバレたことが頭にきたようで、その後、女性店員を逆恨みして殺そうと店に戻った。だが、店が閉まっていたため、電車内の女性乗客へと殺害対象を変えたと話しています。派遣の貧困から脱することができず、最後は生活保護。警視庁は犯行の動機に、社会への強い恨みがあったとみています」(前出・記者)

デイリー新潮取材班

2021年8月11日掲載

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