良妻か出しゃばりか？ 瀬戸大也の妻・馬淵優佳に見るアスリート妻たちの変化
ついに東京オリンピックが始まった。開幕と同時に美人アスリートが話題になるが、中盤以降はメダリストの美人妻特集も始まるのがお決まりのパターンだ。彼女たちが一般人でも、夫の隣ならタレント並みの扱いを受ける。だけど自意識がタレント並みになるのはご法度だ。連日メディアで取り上げられ、まんざらでもない顔をすれば「出たがり妻」の烙印を押される。かつては柔道の野村忠宏氏や、ボクシングの村田諒太氏の妻たちが槍玉に上がっていた。結果を出したのは夫であって、あなたではない。メディアに出てはしゃぐアスリート妻たちは、そうやってけなされてきた。
そこへいくと今回の注目株は、間違いなく瀬戸大也選手の妻・馬淵優佳さんだろう。瀬戸選手は昨年の不倫騒動で好感度が急落し、なんとしてでもメダルを獲らなければならない大一番だった。しかし残念ながら初戦の400m個人メドレーはまさかの予選落ち、続く200mバタフライ、200m個人メドレーもメダル無しの結果に。「ネットでいろいろ言われてムカつく」と不満をあらわにした瀬戸選手の態度も反感を買い、「不倫してうわついていたのは自分なのに」と、ブーイングはおさまらない。
ただ、彼への批判が過熱したのは、優佳さんのメディア出演の多さにもあったようだ。コロナ禍ということもあるが、野村氏や村田氏の妻たちの炎上ぶりを見てか、表に出て取材を受けるアスリート妻はほとんど見ない。それだけに、優佳さんの露出は目立った。といっても彼女も元アスリート、選手目線のコメンテーターという需要は確かにある。ただ多くの番組ではタレントのような扱いだったことで、出しゃばり妻というイメージを抱いた人は少なくない。こういう妻だから不倫されるのだ、という理不尽なコメントもネット上では見受けられた。
でも私は瀬戸選手の「ムカつく」発言があった時、この事態を見越して露出を増やしていたのかもな、と思ってしまったのである。メンタルが大きく影響するアスリートだからこそ、バッシングを浴び続ける中で結果は出しにくい。それも自業自得、と言われるのも十分わかっていたはずだ。だからこそ夫婦で世間を見返すには、メダルは絶対に手にしないといけなかった。でもこのままでは瀬戸選手がネットリンチを全て引き受け、メダルから遠ざかることになる。それなら、矛先を自分に向けて彼の負担を減らしたい。「あんな出しゃばり妻を持ったばかりに」と同情してもらえるのであれば、それも本望だったのではないかとさえ感じる。
「内助の功」とは真逆のイメージ戦略 コロコロ変わるキャラが裏目に？
そう思うのは、番組によって打ち出す優佳さんのイメージが変わるからである。例えば「幸せ！ボンビーガール」では、不倫を聞いた際「めっちゃ怒りました」「蹴り上げました」と、気の強い肝っ玉妻ぶりを明かした。次いで「ジャンクSPORTS」では、関西弁のちゃっかりキャラという立ち位置で爆買い。家族でバーベキューを楽しみたいからとコンロをおねだりし、家族4人で食事を楽しむ円満ぶりを写真付きでアピールしていた。一方で今年「突然ですが占ってもいいですか？」では、依存型の恋愛をしがちと言い当てられて動揺。さらには結婚前にもう一人告白されていた相手がいたことを明かすなど、本当に円満なのかな？と考えさせられるような内容だった。
彼女にとっては自分のタレントイメージを上げるより、夫へのネガティブな反応を少しでも減らしたいというのが目的だろう。だから番組の台本通りに応じてしまう。でもキャラに一貫性がないことで、「この人の本音は何か？」「離婚後を見すえたタレント活動？」と、逆効果を視聴者に与えてしまっているように見える。
ちなみに卓球・混合ダブルスで金メダルに輝いた水谷選手も、SNSの誹謗中傷に悩まされていると声を上げた。勝っても負けても「ムカつく」声は届くのだ。ならばせめて夫が勝つまで、一緒に矢面に立ち続ける。優佳さんはそういうサポートを選んだのではないだろうか。
これまでのアスリート妻たちに求められてきた「内助の功」とは真逆だ。でもメダルは3色しかなくても、夫婦は十人十色。その夫婦にしかできない戦い方もあるはずだ。今回メダルを逃したことで、瀬戸夫妻の戦いは続く事になる。でも結果さえ出せば、アスリートの私生活など二の次になるものだ。不倫騒動を起こした福原愛さんや岩崎恭子さんは、解説者として引っ張りだこ。そう、アスリートに必要なのは清廉さより、結果とタフなメンタルという現実を、優佳さんは最もよくわかっているアスリート妻と見ることもできるだろう。こうなると3年後、五輪中継の場にいるのは瀬戸選手より優佳さんという可能性もあるかもしれない。
