韓国でコロナ特需を享受する日本ブランド 現地メディアは「いずれ失速する」と言うが

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特需はいつまで続く

 最後に、特需の今後について占っておこう。不買運動で最大のターゲットにされたのはユニクロだった。ノー・ジャパンが拡散したとき、不買運動家が旗艦店の明洞中央店の前に陣取って利用客を監視するほどだった。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大すると、明洞に閑古鳥が鳴きはじめ、21年1月に同店は閉店することになった。その一方で、不買運動家の目を避けたい人々はオンラインでヒートテックやエアリズムなどを注文するようになり、実際に売り切れるアイテムも出始めた。

 明洞中央店は、韓国で最も地価が高い立地で家賃負担も大きかっただろう。オンラインで十分な売り上げを確保できれば、家賃が高い実店舗は必要ない。不買とコロナ禍によって眠っていた販売インフラが覚醒したと言うといささか大仰だが、韓国ユニクロのコスト削減を後押ししたのは間違いない。

 韓国メディアはコロナ禍が続く限り日本ブランドの躍進が続くと論評する。裏返せばコロナが収束すると共にその勢いは失速すると言いたいようなのだが、ノー・ジャパンで日本製品を買えない不便を経験した人たちが、日本製品のない生活に戻りたいと考えることは恐らくないだろう。

佐々木和義
広告プランナー兼コピーライター。駐在員として渡韓後、日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える広告制作会社を創業し、日系企業の韓国ビジネスをサポートしている。韓国ソウル市在住。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月29日掲載

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