三浦春馬さん、お墓の行方は 実母が語る現在の心境とファンへの想い

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

 多くの人々に衝撃を与えた悲劇から1年が経つ。将来を嘱望された若手俳優を偲ぼうと、ようやく「追悼の場」が設けられることになったが、ここに至るまでには遺族と所属事務所との間にさまざまな軋轢(あつれき)が生じていた。それは「お墓」の行方にも大きな影響を与えており……。

 ***

 三浦春馬が都内マンションの自宅で首を吊り、30歳の若さで世を去ったのは、昨年7月18日のことだった。一周忌を迎える彼を追悼すべく、所属事務所のアミューズはファンに向けて「特別な場所」を用意すると発表。「お別れの会」ではなくウェブ上に特設サイトを開き、命日に生前の雄姿を収めた映像などを公開する運びとなった。

 振り返ればこの1年、故人を愛してやまない人々が、心穏やかに彼の死を悼(いた)む場所や機会は用意されてこなかった。三浦の自死から2日後、所属事務所は“お別れの機会を設けたい”との声明を出したが、その後進展はなく、昨年10月の時点で、一周忌に何らかの形で執り行う旨が示されただけだったのである。

 結果的に、節目となる日に人々が集い、花を手向けて手を合わせる場が実現することは叶わなかったが、その理由をスポーツ紙の芸能担当記者が解説する。

「アミューズ内部でも、ファンのために節目となる『お別れの会』を催そうと検討を重ねていたようですが、やはりコロナの影響は無視できなかった。今年に入ってからは五輪開催に対する世論の風当たりも大きく、大勢の人を集めるような形で追悼の場を設ければ感染リスクも高い。リモートの形で春馬さんの死を悼むというのが、現実的な選択肢だったと思います」

 その一方で、さる芸能ジャーナリストはこんな事情を明かす。

「『お別れの会』を開くにあたっては遺族の承諾が必要なのに、アミューズとの関係が芳しくない印象を受けました。所属事務所の関係者に『お別れの会』はどうなっているのかと聞くと、“春馬のお母さんがね……”と、言葉を濁す場面が度々ありましたからね」

 背景には三浦が抱えていた複雑な家族関係がある。幼い頃に両親が離婚し、ひとりっ子だった彼は実母に引き取られた。が、三浦の死後、億単位といわれる遺産の相続を巡り、両親が弁護士を立てて争っていたのだ。

 今年1月に三浦の実父が持病の悪化で急逝してしまい、遺産は実母が相続する形で落着したが、長らく遺族の窓口が一本化されない状況が続いていた。

 加えて、2月に本誌(「週刊新潮」)取材に応じた実母は、“亡くなる前からアミューズに囲われて三浦本人が体調を崩し、精神的に弱っていく中で、自分は蚊帳の外だった”と訴えていた。そうした主張が所属事務所との間に軋轢を生んでいたのだろうか。

「あまりにも急なことだったので、お母さんとしても“どうして”という思いから、春馬さんが亡くなった原因は労災なのでは、という疑念を抱いていたのです」

 と話すのは、実母の代理人を務める大坪和敏弁護士。

「春馬さんが亡くなられた当初は、その疑問をお母さんが所属事務所にぶつけたことはありました。しかし、何度も話し合いを重ねて時間が経つ中で、お母さんも所属事務所はしっかりやってくれていたと思うに至り、問題なく連絡を取り合う関係になっていったと思います。たしかに新潮の記事で彼女が話したように、春馬さんが衰弱した時期に所属事務所とお母さんの関係があまりよくなかったのは事実だと思います。けれど、今はそれ以上に春馬さんが亡くなったことのショックが大きく、自分を責める気持ちの方が大きくなった。所属事務所への不満は小さくなり、一方で自責の念が大きくなっているのです」

「遺骨も遺品も…」

ゆえに、本来ならばとうに済んでいるはずの納骨などの供養も、ままならない状況という。

「まだ彼女の気持ちは沈んだままなので、遺骨も遺品もご自身で持たれていて、お墓を作るつもりはないようです。どの時期にどこへ作るかなど、先のことはまったく考えられていない。今年の春頃に、私が“お墓でなくても、ファンの方が手を合わせるような場所があってもいいのではないですか”と提案したことがあるのですが、気持ちの整理がつかないと仰っていた。ただ、お母さんも“ファンのために何かしなくちゃ”と、応援してくださる方々への感謝の気持ちを口にされています」(同)

 三浦の生まれ故郷である茨城県内に暮らす実母はなにを思うか。改めて真意を尋ねたところ、

「春馬のことを考えてくれるファンの方々がいることは知っています。1年が経って、皆さんそれぞれ思うところはあると思いますが、それは個々の胸の中にとどめておく話であって、私の方から何か話すようなことはありません……」

 前述した実母とのやりとりについて所属事務所のアミューズは、

「事実ではありません」

 と述べるだけだった。

 突然の死に戸惑い、行き場のない悲しみは増すばかり。一周忌という節目を迎えても、人々の心はなお彷徨(さまよ)い続けている。

週刊新潮 2021年7月22日号掲載

特集「悲劇から1年でも…『三浦春馬』を悼む 『お墓』の行方」より

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。