U-24南アフリカ戦 “陰のMVP”は田中碧 メキシコにどう挑むべきか

スポーツ

  • ブックマーク

“陰のMVP”は?

 しかし効果的な攻撃を仕掛けることはできず、逆に33分、反撃に出た南アに左サイドを突破され、最後はペナルティエリア中央からルーサー・シン(23)に決定的なシュートを許す。

 幸いにもシュートはGK谷晃生(20)の正面だったため、日本はこの試合で最大のピンチを逃れた。

 1分後、南アはシンと同様にポルトガルのブラガでプレーするFWコバメロ・コディサン(21)を投入して最後の反撃に出る。

 すると森保監督も堂安に代えて町田浩樹(23)を左SBに起用して守備を強化しつつ、旗手をトップ下にコンバート。

 後半アディショナルタイム4分には自陣近くで直接FKを与えてしまうが、テボホ・モコエナ(24)のシュートは大きく上に外れ、日本は12年ロンドン五輪以来9年ぶりに五輪の初戦を白星で飾った。

 この試合のMVPは決勝点を決めた久保で間違いないだろう。そして“陰のMVP”として田中の名をあげたい。決勝点につながるサイドチェンジのパスはもちろん、遠藤とのダブルボランチから攻守のつなぎ役として攻撃のリズムを作った。

メキシコ戦の課題

 さらにゴールが欲しい後半は、ボランチの位置からゴール前のバイタルエリアに侵入したり、右サイドのオープンスペースに走り込んだりと、意外性のあるプレーで攻撃に変化をつけようとトライした。

 前半立ち上がりこそ果敢に攻め上がった酒井宏樹(31)だが、後半はほとんど攻め上がることができなかっただけに、田中がそのスペースに顔を出してボールを受けることで、日本の攻撃に幅を持たせていた。

 日本の次の相手は初戦でフランスを4-1と撃破したメキシコだ(25日の20時キックオフ)。優勝候補の一角であり、フランス戦で先制点をアシストしたドリブラーのディエゴ・ライネス(21)をどう止めるかがカギになる。

 技巧派のレフティーだが、フランス戦の先制点に結びついたプレーは右サイドでタテに抜け出し、右足で柔らかいクロスを送った。警戒するのは左足だけではない厄介な相手である。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月24日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。