U-24南アフリカ戦 “陰のMVP”は田中碧 メキシコにどう挑むべきか

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好守のつなぎ役

 どんな大会でも初戦の難しさはあるし、それは選手自身も理解しているだろう。加えて、南アフリカは選手2人が新型コロナウイルスの陽性と判定され、多くの選手が濃厚接触者として隔離され、満足に練習できなかった。

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 さらに、不慣れな気候にもかかわらず、南アフリカは90分間足を止めることなく日本に立ち向かった。

 拮抗した試合になった要因は2つ。まずは南アが5-4-1の超守備的な布陣でペナルティエリアに人数を割いて固めつつ、堂安律(23)と久保建英(20)のドリブル突破には必ず複数の選手で囲い込むことで自由を与えなかった。

 もう1点は、これは「なでしこジャパン」にも共通しているが、日本はボールを保持してパスをつないでも、リズムが一定していることだ。

 敵のゴールに迫ったらワンタッチパスでスピードアップするといった“緩急の変化”に乏しい。このため南アも守備一辺倒だったが、“守備のリズム”を作りやすかった。

 吉田麻也(32)や遠藤航(28)らは時折、前線へ速くて強いタテパスを入れたが、久保や林大地(24)と呼吸が合わず、効果的な攻撃に結びつけることはできなかった。

 こうした試合ではセットプレーが大きな武器になるが、前半45分の久保のFKは僅かに右へ外れた。

「できればスピードのあるドリブラーで相手を剥がしつつ、ペナルティエリア内で倒されたらPK」――と思ったのかどうかは不明だが、森保一監督(52)は後半15分に最初のカードを切る。

久保のシュート

 左MF三好康児(24)に代えて相馬勇紀(24)を投入した。しかし瞬間的なスピードで相手を置き去りにしてクロスを上げる相馬が、スピードで抜けきれない。やはり個々の身体能力の高さは驚異的だ。

 決勝点は後半26分、田中碧(22)のサイドチェンジのパスを右ペナルティエリア手前で受けた久保が、得意のカットインから左足の強シュートをゴール左スミに突き刺した。

 この場面では、久保のマークについたのはシブシソ・マビリソ(22)1人だけ。これなら久保も簡単に剥がせたはずだ。

 久保自身も「思い通りにトラップできて、何回かタテに行っていたので、中に簡単に行けるなと。中に折り返してファーを狙おうと思っていたので、入ってくれて良かったです」と狙い通りのプレーだったことを明かした。

 あのポジションでのプレーは、FC東京時代に何度も経験しているアドバンテージもあったはず。

 その後も森保監督は、林に代えてFW上田綺世(22)、中山雄太(24)に代えてSB旗手怜央(23)を起用し追加点を狙う。

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