第7世代は総崩れ…ワイドショー「芸人枠」で加速するカズレーザーの強さと存在感

エンタメ 芸能 2021年7月21日掲載

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 実際のところ、第7世代は面白いのか面白くないのか。これは論争を呼ぶだろう。ただ、第7世代の発言がなんでも愛されるのかと言われたら、なかなか難しいのではないだろうか。先日は霜降り明星の粗品さんが、自身のラジオ番組で熱海の土石流を茶化した発言をして猛批判を浴びた。3時のヒロインも、コメンテーターだった「グッとラック!」は打ち切りに。今は水曜の「めざまし8」のコーナー担当だが、ぎこちない進行にはイライラする視聴者も多かったようだ。唯一気を吐いているのがEXITかもしれない。特に兼近さんのコメントは、いつも鋭いと話題になる。一方で彼らが歌手デビューしたことには、首を傾げる向きもある。あれだけ冷静に意見を言える人たちとは思えない、妙にカッコつけた歌詞には賛否両論があった。

 そこへいくとメイプル超合金・カズレーザーさんの、コメンテーターとしての安定感と切れ味はすごい。忖度をしない、という点では粗品さんや兼近さんと通じるところがある。面白いことを言おうというよりも、本当のことを言おうという姿勢が強いのだろう。「王様は賢い人にだけ見える衣装をつけている」ではなく、「王様は裸だ」と言える人である。

 第7世代でいうと、EXIT・りんたろー。さんと年齢の近いカズレーザーさん。でも、発するコメントの方向性は真逆である。例えば、先日25年前のいじめが報じられて炎上した、東京五輪開会式の作曲担当・小山田圭吾さんへのコメントだ。りんたろー。さんは「ワイドナショー」で、「人としてあるまじき行為でよくないですけど、じゃあ清廉潔白な人っていますかって思っちゃう」「過去の彼に対して石を投げるってことが正しいのかって疑問はある」と発言。一方のカズレーザーさんは、「サンデージャポン」にて「再挑戦ができる社会が望ましいというのが前提」と前置きした上で、「批判の声が大きいというのはプラマイのマイナスを埋め合わせる作業を単純にしてなかった」「再チャレンジとかじゃなくて批判されて当たり前の自業自得の話」と切って捨てた。

 報道を受けても、当初、組織委は小山田氏の続投を発表した(後に辞任を発表)。もとより決定権のない人間が何を言ったところで、という面はある。同じ業界人を批判するのには勇気がいるし、性善説でお茶を濁してしまう気持ちもわかる。だからこそカズレーザーさんの態度と言葉は、人の心に深く切り込んでくるものがある。何より本人が、好かれようと思って発言しないところも、多くの人に支持される理由なのだろう。

 同志社大学卒業だが、知識でマウンティングすることもないし、関西弁を使って過剰に親しみを打ち出そうともしない。全身に赤い服をまとい、バイセクシャルも公言している。多様性を語る第7世代より、多様性を体現している姿。その異質な存在感は、第7世代含めて「嫌われたくない」人が多い現代だからこそ、際立っている。

みんな違ってみんないい第7世代 ワイドショーには向かない真逆の立ち位置?

 芸人にとっての負けとは、嫌われることなのか、つまらなくなることなのか。同じ第7世代の宮下草薙さんが、「りんたろー。さんは笑いより好感度を意識している」とバラエティで指摘したのを思い出す。

 そのりんたろー。さんは、小山田氏に関するコメントを変えた。「めざまし8」では自身も過去にいじめを受けた経験があるとし、被害者の気持ちをまず慮った。そしてネット上で小山田氏を誹謗中傷することもまた、いじめと変わらないと指摘したのである。

 コメンテーターとしては模範解答だ。まず弱い立場を思いやり、これ以上のいじめ被害が広がらないように諭す。とてもセンシティブな問題だし、りんたろー。さんの立場では精一杯の軌道修正だろう。

 みんな違ってみんないい。傷つける笑いよりも、愛される振る舞いを。第7世代に共通する感性は、確かに正しく、時代や世界の主流である。けれどもお祭り騒ぎを担うワイドショーでは機能しない。どんなことも人それぞれに理由がありますよね、人がとやかく言うことではないですよね、では成立しないのだ。

 乱立するワイドショーの芸人枠は、視聴者が口にしにくい本音を代弁することと、にぎやかしの両方が求められる。つまり、嫌われるのが嫌な人には向かない立ち位置だ。その点で、第7世代には向かない仕事なのではないだろうか。今活躍しているのは、カズレーザーさんにしろひろゆきさんにしろ古市憲寿さんにしろ、好かれることを大目標に掲げない人たちばかりである。

 これからやってくる東京五輪は、コメンテーター芸人たちにとっても大一番だろう。メダルの数や選手の健闘以外にも、コロナ感染や主催側の不手際も報じられるはずだ。そうしたネガティブな話にどうコメントし、お茶の間を明るく盛り上げることができるのか。芸人としての資質が問われる、「踏み絵」と化した東京五輪。第7世代の去就はわからない。でも嫌われることを恐れないカズレーザーさんは変わらず、金メダル級の切れ味鋭い舌鋒を見せつけてくれるだろう。

冨士海ネコ