東京五輪は無観客で選手のパフォーマンスに影響は? 大坂なおみは逆に力を発揮する

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辞退した選手も

 男子テニス世界ランク58位のニック・キリオス(26)は7月9日、東京五輪オーストラリア代表を辞退するとツイッターで発表した。

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 東京五輪では多くの会場で無観客開催が決まっている。キリオスは観客のいないことを違和感があるとし、体調不良の治療に専念することを明らかにした。

 日本国内でも、無観客開催は賛否両論の状況となっている。

 試しにTwitterで「無観客」と入力して検索してみると、《五輪もやっと無観客まできました》と歓迎する投稿から《百歩譲って五輪を無観客にするなら、甲子園大会もプロ野球もJリーグもそうしないとおかしい》と不満を訴えるものまで、まさに百家争鳴の状態だ。

 一流のアスリートに無観客試合は、どんな影響を与えるのだろうか。元プロテニス選手の神和住純・法政大教授に「アスリートと観客の関係」について取材を依頼した。

「テニス選手に限らず、どんな競技の選手であっても、一流のアスリートは観客がいる時にこそ素晴らしいプレーをします。『観客のいない時に素晴らしいプレーをするのはアマチュアだ』という言葉さえあるほどです。普通の人は他人に見られていると緊張して身体が動きません。見られて燃えるのが一流のアスリートになる最低条件なのです」

「ホーム・アンド・アウェー」の傾向はサッカーだけでなく、他のスポーツでも散見される。大会の開催地で生まれ育った選手に対しては、地元の観客が熱心に応援することは言うまでもない。

大坂なおみの場合

「例えば、イギリスで開催されるウィンブルドンは、全世界から選手が参戦します。どの選手にも声援が送られますが、やはり地元の選手が出場すると、地元の観客はヒートアップします。それに気圧(けお)されるようでは、一流のアスリートとは言えません。観客が相手選手を応援し、自分には冷たい視線が送られたとしても、だからこそ『あいつを負けさせてやる』と燃えるタイプでなければ、どんなスポーツでも頭角を現すことはできないでしょう」(同・神和住氏)

 一方の大坂なおみ(23)は、昨年9月には無観客の全米オープン決勝を制し、今年6月には5日間無観客となった全豪オープンも制した。全豪では試合後の会見を拒否して話題になったのは記憶に新しい。

「プロのテニスプレーヤーになるには、観客がいると燃えるというのが最低条件ですが、それでも様々なタイプがいます。キリオスは正真正銘、観客を必要とするタイプです。ところが最近の大坂さんは、観客がいるほうがかえって負担になっている可能性があります。彼女が記者会見を苦痛だと発言したことは大きく報道されました。大坂さんには神経質なところがあり、ひょっとすると観客がいないほうが伸び伸びとプレーできるのかもしれません」(同・神和住氏)

 基本的にアスリートは、観客がいないとダメなタイプと、観客の有無は気にならないタイプの2種類に分けられる。そして少数派として、大坂のような「観客がいないほうが頑張れる」タイプも存在する――ということのようだ。

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