「匠大塚」はコロナでも出店ラッシュ ブレない父・勝久氏と久美子氏の大きな違い

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不景気にこそ成長

 ちょうど20年前、勝久氏は大塚家具社長時代のインタビューで象徴的なことを語っている。当時はデフレ不況だったが、大塚家具は新宿の三越南館など百貨店跡への出店を進めていた。

《不景気のときこそ、成長できる。うちは、不景気になって撤退した業種の跡や地域に出店することが多いんですよ。七七、七八年ごろはボーリング場、その後は駅前の大手量販店、バブル崩壊後はウオーターフロント、そして現在は百貨店という具合です。敷金、保証金も安くて済みます。好景気なら広いスペースもとれず、豊富な品ぞろえでお客さんを引きつけることもできなかったでしょう》(「日経MJ」01年8月14日付)

「恐ろしいほどブレていません。加えて、匠大塚を立ち上げた頃には、娘を気遣って『バッティングしないように……』とも語っていましたが、池袋には大塚家具の入ったヤマダ電機日本総本店がある。娘が社長を辞めたので、気兼ねなく出店できたかもしれません」

 大塚家具は19年12月にヤマダ電機の子会社となった。昨年12月には久美子社長が退任し、ヤマダホールディングス社長の三嶋恒夫氏が社長を兼務することになった。さらに、今年8月30日に上場廃止、9月1日にヤマダホールディングスの完全子会社となる予定だ。

「親の心子知らずとはこのことかもしれません。大塚家具の社長に返り咲いた久美子さんは“黒字化まであと一歩”などと言いながら業績をひたすら悪化させました。店舗の一部を貸事務所運営会社に貸して業務資本提携を結んだり、『これからは海外』と言って中国企業と組んだり、ブレまくっていた。結局、上場は廃止され、ヤマダ電機の完全子会社になるわけです。ヤマダの山田昇会長は久美子社長について『経験が足りない』と語っていましたが、結局そういうことだったのでしょう。いい面の皮は大塚家具の株主たちです。勝久会長時代は1株1500円ほどあったのに、今や200円台。ヤマダと組んでようやく取り戻せると思ったら、8月末には上場廃止なのですから」

 勝久氏の作った大塚家具というブランドはどうなるのだろう。

「住宅メーカーだったエス・バイ・エルも、ヤマダの子会社となって、現在はヤマダホームズになっています。久美子社長によってイメージ悪化を続けた大塚家具というブランドに、いま魅力を感じる人がどれほどいるでしょうか。ヤマダ家具に変わる日も近いかもしれません」

 社長退任後、コンサルティング会社代表に転身した久美子氏の最近のTwitterにはこうある。

《以前から葉物野菜が大好きで、食べないと暴れたくなるので、前世はウシなのではないかと思っていたが、最近、スティック野菜にはまり(特にニンジンスティック)、今日はニンジン3本まとめてスティックにした。食べ始めるとすぐに1本分くらい食べてしまう。前世はウシじゃなくウサギなのかも知れない。》(7月4日付)

 八百屋のコンサルでもやっているのだろうか。

デイリー新潮取材班

2021年7月19日掲載

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