イジメっ子「小山田圭吾」の謝罪に不可解な点 当時の学校運営に不満だったという証言

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学校運営に不満?

 識者はどう見るか。デイリー新潮の取材に上智大学文学部新聞学科教授・水島宏明氏はこう語った。

「五輪憲章に最も反する行為ですから、小山田氏の行為が事実なら、開会式への関与を見直さなくてはならないでしょう」

 五輪憲章はいかなる差別も禁じている。また水島教授は「小山田氏が関与するのは国際的に見ても恥ずかしいこと」と話す。

 脳科学者の茂木健一郎氏もツイッターで「これはキツい。外すしかないかも」発言。さらに、こう記している。

「小山田圭吾さんのこと、もしこの時点で(開会式の)音楽を変えるとか難しいとかいうことがあったら、やはりもはやご本人が出てきて会見なさって、あの時点の自分と今の自分は違う、深く反省して違った人間になっているということをおっしゃるしか、おさまり方はないように思う」(茂木氏のツイッター)

 だが、小山田の事務所の電話は留守電になったまま。デイリー新潮を含めたマスコミ各社の取材に応じなかった。そして突然、ツイッターで発信した。

 前出の母校の要職者は「どうやら小山田さんは学園の運営に不満を抱いていたようなんですよ……」と声を落とす。だからといってイジメは正当化できるものではない。

 小山田は「ロッキング・オン・ジャパン」と「クイック・ジャパン」の記述に事実と違う部分があるというのなら、それを指摘し、何が真実なのかを表明すべきではないか。小山田のイジメによって自殺を考えた人がいたり、人種差別を助長しかねない発言をしたりしていたら、水島教授の言葉どおり、国際的に恥をかく。

 組織委は小山田の起用理由を説明すべきだろう。小山田のイジメ問題を事前に認知していたら、それでも使いたかった理由を説明しなくてはならないはずだ。

 トラブル続きの五輪になった。

 まず2015年、新国立競技場の総工費が当初の約1625億円から約2520億円まで膨張していることが分かり、世論が猛反発。「誰のための五輪だ」という声が上がり始めた。

 結局、国は世論を抑えられないと判断し、ザハ・ハディド氏がデザインした競技場建設計画を白紙撤回した。代わりに隈研吾氏のデザインが採用されて、総工費は約1569億円に抑えられた。

 だが、同じ2015年、今度は大会エンブレムの盗用疑惑が持ち上がる。これも決まっていたデザインが白紙になる。

 2019年には桜田義孝・五輪パラリンピック担当相が辞任に追い込まれた。「(五輪憲章を)読んでいない」といった数々の無責任な発言が問題視された。

 2020年にはコロナ禍を理由に開催の1年延期が決定する。今年2月には組織委の森喜朗会長がJOC評議員会で「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」などと女性蔑視発言を行い、辞任に追い込まれた。

 さて、小山田の問題を組織委はどうするつもりか。「時間がない」では済まされないだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月17日掲載

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