ジャニーズWEST・重岡大毅、ゴールデンドラマ「#家族募集します」主演の実力と魅力

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「ネガティブになるの、いちばん簡単だから」

 繊細、人見知り、慎重といった言葉が並び、パブリックな重岡のイメージとはかけ離れている。どうやら、仲間に見せる素の自分と、仕事の場での自分には少し隔たりがあるようだ。

 本人も「昔はけっこう打たれ弱かったですけど、それじゃダメだと思っていた」(ピクトアップ2018年8月号)

「もともとはすごいネガティブで。でもポジティブにいかないといかんなと常々思ってる次第でございます(笑)」と笑いをまぶしながらも、自分の気質との葛藤を明かす。(キネマ旬報2016年11月15日号)

「ポジティブにいかないと」と思う理由についてはこう語っている。

「ネガティブになるの、いちばん簡単だから。ポジティブになる方が難しいじゃないですか。ポジティブな人の方が強いんだなと思ってから、そういう人に(あり方として)近づこうと。そういう考えたかたに近づこうという姿勢ですね。そこにゴールはないからずっと歩み続けてる感じです」(キネマ旬報2016年11月15日号)

 素の自分とは少し遠かったとしても、仕事の場で明るい印象を与えられるのは、見られ方に敏感な証拠である。だが、人からの見られ方は芝居の上では気にしてはいけないと感じているという。

「昔はカッコつけてた感じがする。周りにどう見られるかということは人一倍気にしてましたね。お芝居するようになってからだと思います、カッコつけなくなったのは。周りへの見え方を気にしてお芝居をしたらいけない」(キネマ旬報2016年11月15日号)

 そう感じたのはデビュー直後に生徒役として出演した学園ドラマ「ごめんね青春!」。「打ち砕かれた。こんな芝居じゃ全然通用しないと思った」(ザテレビジョン2021年5月7日)と本人も振り返るが、そこで共演した事務所の先輩俳優にこう言われたのが印象に残っているのだという。

「お前、カッコつけんな」

「アイドルってそういうもんやと」

「それまではカメラを向けられたらこうキメるとか当たり前にカッコつけてやってきたんですよ。アイドルってそういうもんやと思ってきたから。それが真逆というか、カッコつけることがカッコ悪い時もあるんやと。等身大でやっていくほうが伝わるんだと気づかされて、ドラマに対する僕の今がある」(日経ヘルス2020年12月号)

 アイドルに「カッコつけるな」もいささか厳しい気もするが、アイドルのときと役者のときでは求められるものが違うという意味もこもったアドバイスなのだろう。

 とはいえ、演技以外でも常にかっこつけることをやめてしまえば、魅力を感じず、離れていってしまうファンもいるかもしれないし、その塩梅は難しい。

 2020年に放送された「知らなくていいコト」は、かなり嫌な男の役で、途方もなく、かっこ悪かった。求められることがわかるからこそ、そこに合わせることができる。

 演技以外の現場でもそうだ。重岡は求められることを敏感に察知して反応できる。

 先輩グループの冠番組「関ジャニ∞のジャニ勉」に出演するようになった初回には、関ジャニ∞の横山裕から「おまえ、緊張してるフリしてたやろ?」と指摘されている。(ザテレビジョン2015年7月31日)

 ここでは実際は緊張していなかったことを明かしているが、自分が“緊張する後輩”を担うのが正しいと判断したのだろう。演技はもちろん、演技以外の場所でも、周囲が求める場所を判断し、そこに行けるのが重岡なのだ。

 そして、だからこそ“アイドル”にもなれる。

 ジャニーズの中でも、Sexy Zoneの中島健人が“アイドルのプロフェッショナル”であることは拙著『ジャニーズは努力が9割』でも詳述したが、その中島と重岡はジャニーズJr.時代から仲がいい。

 重岡が中島を「健人はいつもアイドルを地でやってるけど、そんなことようできんで。常にアイドルであることの意味がわかっとるやつにしかできん」と褒め称えれば、中島は「アイドルとしての一貫性とか、ファンへの思いとか、仕事に対する姿勢とか。そういう根本的なとこが俺とシゲは同じ」と返す。(ポポロ2015年7月号)

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