国内トップ「京都中央信用金庫」が「ナニワ金融道」さながらの「偽装融資」 10年にわたる法廷闘争

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身に覚えのない融資

「中信(ちゅうしん)」の愛称で親しまれてきた「京都中央信用金庫」。信金としては国内最大の預金量を誇る一方で、「融資トラブル」も抱えている。かつては貸し渋りで倒産に追い込まれた不動産会社社長が職員を人質に立て籠もる事件も起きた金融機関で、どんな問題が生じているのか。

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 琵琶湖畔にあるリゾートホテルの元社長は、中信による「偽装融資」の被害に遭ったとして、10年にわたる裁判闘争を続けている。元社長に対する中信の不正行為が発覚したのは、籠城事件の前年、2001年のこと。

 当の元社長は、「新たに比叡山の麓にホテルを建設する計画を立て、その元手に琵琶湖のホテルを売却しようとしました。ところが、ホテルが中信からの融資3億6000万円の担保に取られていたことがわかった。まったく身に覚えのない融資で、所有する他の不動産も調べると、同じように抵当権を付けられていました」

 中信に説明を求めても言葉を濁されるばかりだったが、この件をきっかけに偽装融資が次々と明るみに出た。

融資元を父親に改竄

 中信の餌食にされた元社長は10年から裁判闘争を開始。中信を相手取った訴訟は10件にも及び、なかには最高裁で勝訴が確定しているケースもある。

 偽装融資の主な方法は、ホテル運営会社が税務署に提出した確定申告書を一旦取り下げ、融資元を元社長の父親に改竄したうえで、再提出することだった。もし父親の営む自動車の修理工場が破綻しても、父親が融資した格好のホテル運営会社から債権を回収できるようにしたのだ。

 修理工場を助けるから、と弱みに付け込まれ、父親も中信の偽装融資に利用されたという。

 元社長によると、ホテル運営会社の不動産や剰余金を担保に修理工場への貸し付けも行われ、

「私個人としても自宅だけでなく、気づかぬうちに定期預金を担保に入れられ、借金を背負わされていた。その総額は、ホテル運営会社が11億円、私個人が3億円に上りました」

 偽装融資によって元社長らから還流させた返済金は、利払い分も含め30億円近くに達するとのこと。闇金紛いの「ナニワ金融道」を実践する信金が、総理大臣から免許を与えられた金融機関とは、にわかには信じ難い。

「週刊新潮」2020年7月16日号「MONEY」欄の有料版では、中信による偽装融資の経緯と手口を詳報する。

週刊新潮 2020年7月16日号掲載

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