コンビニ3社が揃って「アールグレイ」を発売 数ある紅茶の中でなぜ選ばれるのか

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 夏の飲み物といえば麦茶だが、今年は「アールグレイ」に取って代わられるかも……? 現在、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ各社から、PB(プライベートブランド)商品の「アールグレイ」が発売中だ。

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 まったく飲んだことがないわけではないが、しかしいつも飲むわけではない……多くの日本人にとって「アールグレイ」とは、そんな位置づけのお茶だったのではないだろうか。しかもアイスで、無糖。今回コンビニ各社が売り出したことで、いちだん身近な存在になったといえるかもしれない。

 コンビニ3社の「無糖アールグレイ」について、清涼飲料水評論家・清水りょうこ氏の感想を伺おう。まずは3社の中ではひと足早く、2019年から販売されていたセブンの「アールグレイ 無糖」だ。

「製造はキリンビバレッジ。香りの強いウバ茶葉を29%以上使用しているからなのか、アールグレイらしく、とても華やかなのが特徴です。原材料表示をみると、茶葉の産地として、スリランカ、インド、その他とあります。お茶の味はかなり薄めで紅茶好きにはやや物足りないかも。ただ、水のように飲みやすいので、ご飯も含めた食事にも合わせやすく設計されているのかもしれません」

 次は今年4月に発売されたローソンの「アールグレイ(無糖)」。HPによると〈ローソンPB商品初の無糖紅茶飲料〉だそうだ。

「こちらはセブンイレブンのアールグレイより香りがやや控えめ。お茶の味はしっかりしています。お茶の伊藤園が製造しただけのことはあるでしょうか。インドネシアとスリランカの茶葉をブレンドしています。3社の中ではこれが一番好きかもしれません」

 ファミリーマートは最後発。5月末に売り出した「アールグレイティー」は、なかなか特長的であるようだ。

「アサヒ飲料が製造し、おしゃれな雑貨も有名なアフタヌーンティーが監修です。ウバ茶を40%使用しており、花のような香りが強い印象。やや香水っぽくも感じました。これは好き嫌いが分かれるかも。お茶の苦味も少し感じられます」

なぜ「アールグレイ」なのか

 ところで、数ある紅茶の中でも、なぜコンビニ3社は揃って「アールグレイ」なのだろうか。日本で唯一の紅茶関連業者団体「日本紅茶協会」は次のように語る。

「紅茶商品として『香り』が特長づけしやすいのがアールグレイというのはいえます。お菓子でも紅茶風味として発売されるものの多くはアールグレイです。というのも、アールグレイは『着香茶』。茶葉はスリランカ産やケニア産、インド産問わず、一般的にはベルガモットの香りをつけたものを指します。これが例えばダージリンですと、茶葉はインド産と決まっていて、香りづけもしません。コンビニ各社の商品はいずれもアイスということですので、アイスティーにしても分かりやすいのがアールグレイです」

 紅茶といえば、昨年11月、銀座ウエストのこんなツイートも話題になった。

〈今年の紅茶は、風味が例年と比べると少しおかしいと感じているお客様も多いかと思います。実はここにもコロナ禍が影響しています。紅茶の収穫期の3-4月にインド全国で実施されたロックダウンにより収穫が遅れ、茶葉が痛んでしまった様です。基本的な改善は来春の新茶葉の収穫迄は難しいとのことです〉

 となると、こうして傷んだ茶葉の使い道として、香りづけできる「アールグレイ」が作られているという可能性もあるのだろうか。

「どうでしょう。茶葉が傷んだというデータは手元にないので、なんとも……」(紅茶協会)

 とはいえ先の清水氏も、アールグレイ興隆の裏にはコストの事情もあると見る。

「茶葉自体はおいしいほうがいいに決まっていますが、アールグレイに関してはそうでなくても『なんとかなる』という面はあるでしょう。おいしい紅茶はそのぶん茶葉も高く、価格を安くするのは難しい。そのため、なんらかの香りをつけたもののほうが、手軽な価格でおいしく作れるということなのだと思いますね。人は香りで味を感じます。近年、香料を使った水や炭酸水が増えていますが、味はしないのに『フルーツ』の飲料を飲んだような満足感がありますよね。同じ理屈で、香りをつけた『アールグレイ』は、消費者においしく飲んでもらえるということなのではないでしょうか。香りも味も、好みは人それぞれですので、一度、飲み比べて、お気に入りを見つけてみてほしいですね」

デイリー新潮取材班

2021年6月27日掲載